第107回 看護師国家試験 午後 問115 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 A さん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていた A さんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。A さんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10。右片麻痺および失語がみられる。A さんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60kg。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。 妻から聴取した A さんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 今朝5時にトイレから戻って来たという情報が、発症時刻を絞り込むうえで最も重要である。

脳梗塞に対するt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベータ)による血栓溶解療法は、発症からの時間(原則4.5時間以内)が使えるかどうかを分ける。 Aさんは就寝中に発症した可能性があるので、最終健常時刻の確認が鍵になる。 「今朝5時にトイレから戻って来た」という情報は、その時点では異常がなかったことを示し、発症はそれ以降と分かる。

他の3つは背景情報としては役に立つが、t-PAを使えるかどうかの判断は動かさない。禁煙歴も、眠りの浅さも、健康診査を受けていなかったことも、発症がいつかを教えてくれない。 脳梗塞の超急性期では、まず最終健常時刻を確認する。

最終健常時刻とは

その人が最後に「いつもどおり」だったと確認できた時刻。発症の瞬間が分からないときは、ここから治療できる時間を数える。

  • 1

    5年前から禁煙していた。不正解

    禁煙歴は危険因子の背景情報にすぎず、t-PA適応という治療方針決定に直接影響しない。

  • 2

    最近、眠りが浅いと言っていた。不正解

    「眠りが浅い」という訴えは睡眠の問題を示すもので、発症がいつだったかの手がかりにはならない。

  • 3

    今朝5時にトイレから戻って来た。正解

    5時にトイレから戻った=その時点で健常だった情報は最終健常時刻を示し、t-PA適応の判断に最も重要。

  • 4

    健康診査を2年間受診していなかった。不正解

    健診未受診は既往把握に役立つが、発症時刻に基づくt-PA適応判断には直接寄与しない。

📚 国試でよく狙われるところ

脳梗塞の超急性期は時間との勝負。適応の条件から投与後の観察までを、時間の流れに沿って覚えよう。

  • t-PAの主な禁忌・慎重投与は頭蓋内出血の既往、最近の手術・外傷、消化管出血、血糖50mg/dL未満、血圧185/110mmHg以上など
  • 投与後は出血性合併症の観察が重要で、意識レベル・血圧・神経症状を頻回に確認する
  • 来院から治療開始までの時間短縮のため、院内脳卒中コードなど多職種での初期対応が組まれている
脳梗塞超急性期の主な治療
治療時間の目安
t-PA(アルテプラーゼ)静注療法発症(最終健常時刻)から4.5時間以内
機械的血栓回収療法発症から6時間以内が原則。画像所見で適応を判断すれば発症後16〜24時間でも考慮されうる

睡眠中発症など発症時刻不明例では、画像所見をもとに適応が判断される。

参考: 日本脳卒中学会「静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針」

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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