第107回 看護師国家試験 午後 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。 A さん(72歳、男性)。右片麻痺および失語で救急搬送された。 A さんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、A さんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。 A さんに行う経管栄養法について適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 経管栄養では注入前に胃残渣を確認し、胃内容の停滞や嘔吐・誤嚥のリスクを評価することが適切である。
経鼻胃管からの経管栄養では、栄養剤を入れる前に胃残渣(前回入れた分の残り)を確認する。 残渣が多いのは胃の中に内容物が停滞しているしるしで、そのまま注入すると嘔吐・逆流・誤嚥につながる。確認した量から、入れてよいか、量と速度をどうするかを決める。 誤嚥の危険が高いと評価されたAさんでは、胃管先端の位置確認とあわせて欠かせない観察になる。
他の3つは経管栄養の原則から外れる。白湯から始める決まりはなく、嚥下訓練は経管栄養中も続けるもので、1日2,200kcalという目標はAさんには多すぎる。
- 1
白湯から開始する。不正解
白湯から開始すべきという標準はなく、通常は指示された栄養剤を用いる。
- 2
開始前に胃残渣を確認する。正解
注入前の胃残渣確認は胃内容停滞や誤嚥リスクを評価する基本手技で、安全な経管栄養に不可欠である。
- 3
経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。不正解
嚥下訓練は経管栄養中も言語聴覚士の評価に基づいて続けるもので、中止しない。
- 4
1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。不正解
1日2,200kcalはAさんの体格と活動量に照らすと多すぎる。必要量は体重や病状に合わせて決める。
📚 国試でよく狙われるところ
経鼻胃管からの経管栄養は、誤嚥と逆流を防ぐ手順が問われる。順番と数値をひと組で覚えよう。
- 注入前に胃管の位置確認を行う。気泡音の聴取だけでは不確実で、胃内容の吸引やpH確認を併用し、確実な確認法はエックス線撮影
- 注入時の体位は上半身を30〜45度挙上し、注入後も30分〜1時間は挙上を保つ
- 注入前に胃残渣を確認し、多量なら注入の可否・量・速度を検討する
- 栄養剤は常温に戻して用い、速度が速いと下痢・ダンピング様症状を起こす
- 経管栄養中でも嚥下訓練は並行して行う。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に不可欠
参考: 日本静脈経腸栄養学会「静脈経腸栄養ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について