第114回 看護師国家試験 午後 問50 解説
📝 問題
Aさん(42歳、男性)は、同僚との飲酒中に上腹部から背部の激しい痛みと嘔吐があり、救急搬送された。搬送時の心電図には異常を認めない。 Aさんの状態をアセスメントするための血液検査項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 飲酒中の上腹部から背部への激痛と嘔吐は急性膵炎を疑う所見で、膵臓に特異的なリパーゼを優先する。
42歳の男性が飲酒中に、上腹部から背中へ抜ける激しい痛みと嘔吐を起こした。この経過は急性膵炎を強く疑わせる。アルコールは胆石と並ぶ二大原因で、膵臓が背中側にあるため痛みが背部へ響く。心電図に異常がないことからも、心臓の病気は考えにくい。
診断の決め手になるのは膵臓の酵素である。なかでもリパーゼは唾液腺の影響を受けず、アミラーゼより膵臓に特異的で、上がった状態が長く続く。
- 1
アルブミン不正解
アルブミンは肝臓の合成能や栄養状態を表す指標で、数日から数週の変化をみるもの。急な腹痛の原因を今しぼり込む場面では優先度が低い。
- 2
トロポニン不正解
トロポニンは心筋の傷害を示す指標で、心臓の病気を疑うときには重要である。本例は心電図に異常がなく、経過も膵炎に合うため優先度は下がる。
- 3
中性脂肪不正解
中性脂肪の高値も膵炎の原因になりうるので原因さがしには意味があるが、この値だけでは膵炎かどうかを判断できない。
- 4
リパーゼ正解
リパーゼは膵臓に特異性が高く、発症してすぐ上がり数日続くため診断に役立つ。アミラーゼは唾液腺由来の分も含むので特異性がやや劣る。
📚 国試でよく狙われるところ
急性膵炎は重症になると多くの臓器の障害へ進む。原因・症状・治療をひとまとまりで問われる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 二大成因 | アルコールと胆石(ほかに中性脂肪の高値、内視鏡での胆管の検査のあと、薬剤性、原因不明) |
| 症状 | 上腹部痛(背部へ放散)、悪心・嘔吐、発熱、腹部膨満、前屈位で軽減 |
| 身体所見 | 上腹部の圧痛、腸蠕動音減弱。重症例でグレイ・ターナー徴候(側腹部)・カレン徴候(臍周囲) |
| 血液検査 | リパーゼ・アミラーゼの上昇、白血球の増加、炎症反応(CRP)の上昇、重症例でカルシウムの低下と尿素窒素の上昇 |
| 治療 | 絶飲食、十分な初期輸液、除痛、必要に応じ抗菌薬・栄養療法。胆石性では内視鏡的治療 |
参考: 急性膵炎診療ガイドライン
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について