第111回 看護師国家試験 午後 問46 解説

一般成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症で正しいのはどれか。

✅ 正解

2

💡 解説

✅ HIV感染症には無症候期がある。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はRNAウイルス(レトロウイルス)で、免疫の司令塔であるCD4陽性Tリンパ球(ヘルパーT細胞)に感染して免疫を壊していく。 感染すると急性期のあとに、数年〜10年程度の症状のない無症候期(無症候性キャリア期)が続き、その後CD4陽性Tリンパ球が減ってAIDS(後天性免疫不全症候群)を発症する。

他の選択肢は、感染経路・ウイルスの種類・感染する細胞が誤っている。HIVは空気感染せず、血液・性行為・母子(垂直)感染のように体液を介して伝わる。 HIVはDNAウイルスではなく、逆転写酵素をもつRNAウイルスである。 感染する相手はBリンパ球ではなくCD4陽性Tリンパ球(ヘルパーT細胞)である。

CD4陽性Tリンパ球とは

免疫の司令塔としてはたらく白血球。HIVはここに感染して数を減らし、免疫を壊す。

レトロウイルスとは

自分のRNAをDNAに写しかえて、感染した細胞の遺伝子にもぐり込むウイルス。HIVはその仲間。

  • 1

    空気感染する。不正解

    HIVは空気感染しない。血液・性行為・母子感染など体液を介して感染する。

  • 2

    無症候期がある。正解

    感染後、症状のない無症候期(無症候性キャリア期)を経てAIDSを発症する。

  • 3

    DNAウイルスによる。不正解

    HIVはDNAウイルスではなくRNAウイルス(レトロウイルス)である。

  • 4

    血液中のBリンパ球に感染する。不正解

    感染標的はBリンパ球ではなくCD4陽性Tリンパ球(ヘルパーT細胞)である。

📚 ここも一緒におさえておこう

CD4陽性リンパ球数が200/μL未満になると、ニューモシスチス肺炎などの日和見感染症を起こしやすくなる。 AIDSの診断は、HIV感染に加えて指標疾患(23疾患)のいずれかを認めた場合に行う。

  • 治療は抗HIV療法(ART:多剤併用療法)。服薬アドヒアランスの維持が最も大切で、ウイルス量が検出限界未満に保たれていれば性行為による感染はほぼ起こらない。
  • 感染予防の基本は標準予防策(スタンダードプリコーション)。日常生活の接触や食器の共用では感染しない。
  • 針刺し事故のときは直ちに流水で洗い、責任者へ報告したうえで曝露後予防内服を検討する。
  • HIV感染症は5類感染症(全数把握)で、診断した医師は7日以内に届け出る。

出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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