第110回 看護師国家試験 午後 問45 解説
📝 問題
脂質異常症の成人患者に対する食事指導の内容で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 高トリグリセリド血症ではアルコールを制限する。
アルコールは肝臓での中性脂肪(トリグリセリド)合成を促進するため、高トリグリセリド血症ではアルコール摂取を制限することが食事指導の基本である。糖質や飽和脂肪酸の過剰摂取も避ける。
不飽和脂肪酸(とくに多価不飽和脂肪酸)はLDLを下げる方向に働くため、飽和脂肪酸に置き換えて適度に摂ることが推奨され「摂りすぎに注意」が主眼ではない。コレステロール摂取は一般に1日200〜300mg未満程度を目安とし、600mgは多すぎる。トランス脂肪酸はLDLを上げ動脈硬化を促すため、高LDL血症では摂取を控えるべきで「促す」は誤りである。
トランス脂肪酸とは
油を固めたり加熱したりする過程でできる脂肪。マーガリンや洋菓子に多く、LDLコレステロールを上げてHDLコレステロールを下げる。
不飽和脂肪酸とは
常温で液体の油に多い脂肪で、青魚や植物油に含まれる。飽和脂肪酸の代わりに摂るとLDLコレステロールが下がる。
- 1
不飽和脂肪酸の摂りすぎに注意する。不正解
不飽和脂肪酸はLDL低下に働き、飽和脂肪酸の代わりに摂ることが推奨される。
- 2
コレステロール摂取量は1日600mg未満とする。不正解
コレステロール摂取目安は200〜300mg未満程度で600mgは多すぎる。
- 3
高トリグリセリド血症では、アルコールを制限する。正解
アルコールは中性脂肪合成を促すため高TG血症では制限する。
- 4
高LDLコレステロール血症では、トランス脂肪酸の摂取を促す。不正解
トランス脂肪酸はLDLを上げるため摂取を促すのは誤り。
📚 国試でよく狙われるところ
脂質異常症の食事指導は、高LDLコレステロール血症と高トリグリセリド血症のどちらの話かを入れ替えて問われる。病型ごとに「減らすもの・増やすもの」を対にして覚えよう。 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、動脈硬化を進めて心筋梗塞・脳梗塞の危険因子となる。治療の基本は食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善である。
- 高LDLコレステロール血症=飽和脂肪酸・コレステロール・トランス脂肪酸を減らし、食物繊維と不飽和脂肪酸を増やす。
- 高トリグリセリド血症=アルコールと糖質(菓子・果物・清涼飲料)を減らし、n-3系多価不飽和脂肪酸(青魚)を摂る。
- 薬物療法ではスタチンが中心。重大な副作用として横紋筋融解症(筋肉痛・脱力・CK上昇・褐色尿)に注意する。
| 分類 | 基準 |
|---|---|
| 高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール 140mg/dL以上 |
| 境界域高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール 120〜139mg/dL |
| 低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール 40mg/dL未満 |
| 高トリグリセリド血症 | トリグリセリド 150mg/dL以上 |
参考: 動脈硬化性疾患予防ガイドライン
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について