第107回 看護師国家試験 午後 問96 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。 A さん(52歳、女性)。くも膜下出血でコイル塞栓術後。 手術後14日、頭部CTで右大脳半球に小範囲の脳梗塞が認められた。A さんは、左上肢の挙上はできるが維持が困難であり、左膝の屈曲はできるが左下肢の挙上は困難である。意識は清明であるが、A さんは左片麻痺があるため動こうとしない。 A さんへの看護で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 左片麻痺があり動こうとしないAさんには、まず日常生活動作〈ADL〉の自立度をアセスメントすることが最も適切である。
脳梗塞による左片麻痺が出たばかりのAさんは、左上肢は挙げられても保てず、左下肢は膝を曲げられても挙げられない。 麻痺があるために動こうとしない状態でもある。 看護の第一歩は、どこまで自分でできて、どこから手を貸すのかを見きわめることである。 そのためにADLの自立度をアセスメントする。 評価があってはじめて、過不足のない介助量やリハビリテーション計画、転倒予防の対策を立てられる。
他の選択肢は、評価の前に方法を決めてしまっている。 杖を使うかどうかは、立位と歩行の安定性、転倒の危険を評価してから決める。 麻痺側上肢の筋力増強運動は、理学療法士や作業療法士の評価をふまえて内容を決める。 移乗を一律に全介助にすると、できる動作まで奪って廃用を招く。
- 1
日常生活動作〈ADL〉の自立度をアセスメントする。正解
残存機能と介助必要度を把握するADL自立度のアセスメントが看護過程の第一歩であり最も適切である。
- 2
歩行訓練のときは杖の使用を勧める。不正解
自立度を評価する前に杖歩行を勧めるのは早計で、転倒リスクの評価が先に必要である。
- 3
左上肢の筋力増強運動を指導する。不正解
麻痺側上肢への筋力増強運動は自立度評価前に一律に指導すべきでなく、専門的評価を要する。
- 4
車椅子への移乗は全介助で行う。不正解
残存機能を評価せず全介助と決めると過介助となり、廃用や自立度低下を招く。
📚 ここも一緒におさえておこう
片麻痺のある人の看護では、評価を先に置く順序と、動かさないことで起こる二次的な障害の予防が問われる。 ADLの評価尺度は、項目数と満点をあわせて覚えよう。
- 看護過程はアセスメント→看護診断→計画→実施→評価の順に進む
- 麻痺側の関節は良肢位保持と他動的関節可動域訓練で拘縮・肩関節亜脱臼を予防する
- 過介助は廃用症候群を招くため、できる動作は本人に行ってもらう
| 尺度 | 項目数・満点 | 特徴 |
|---|---|---|
| Barthel Index | 10項目・100点満点 | できるADLを評価。点数が高いほど自立 |
| FIM(機能的自立度評価法) | 18項目・126点満点 | 運動13+認知5項目。しているADLを7段階で評価 |
| Lawton尺度 | 8項目(男性は5項目) | 手段的日常生活動作(IADL)を評価。電話・買い物・服薬管理・金銭管理など |
参考: 日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について