第104回 看護師国家試験 午後 問93 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。Aさん(45歳、男性)は、便に血液が混じっていたため受診した。検査の結果、直腸癌と診断され、自律神経を部分温存する低位前方切除術が予定されている。 術後6日。ドレーンから茶褐色で悪臭のある排液があった。Aさんは、体温38.2℃、呼吸数20/分、脈拍82/分、整であった。 Aさんの状態で最も可能性が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ ドレーンの茶褐色で悪臭のある排液と発熱から、縫合不全の可能性が最も高い。
直腸の手術では、切り取ったあとに腸と腸をつなぎ直す。そのつなぎ目がくっつかず、腸の内容がもれ出す状態が縫合不全である。
ドレーンから出ている茶褐色で悪臭のある排液は、腸の内容がもれている証拠になる。 38.2℃の発熱は、もれた内容による腹腔内の感染を示している。術後6日という時期も、縫合不全が起こりやすいころにあたる。
他の選択肢は排液の性状と合わない。術後出血なら血性の排液が手術直後に出る。胆汁瘻は胆道の手術のあとに起こり、排液は黄色〜緑色である。イレウスは腹部膨満と嘔吐、腸炎は下痢が中心の症状になる。
- 1
腸炎不正解
腸炎は下痢や腹痛が中心の病態。ドレーンから便汁様の排液が出ることはない。
- 2
胆汁瘻不正解
胆汁瘻は胆囊や胆管の手術のあとに胆汁がもれ出すもので、排液は黄色〜緑色になる。直腸の手術では起こらない。
- 3
イレウス不正解
イレウスは腸の内容が先へ進まなくなった状態。腹部膨満・嘔吐・排ガスの停止が目立ち、ドレーンの排液は変わらない。
- 4
縫合不全正解
つなぎ目から腸の内容がもれると、排液が茶褐色で悪臭を帯び、感染による発熱が加わる。術後6日はこの合併症が起こりやすい時期である。
- 5
術後出血不正解
術後出血の排液は血性で、手術直後から術後1〜2日に多い。術後6日の茶褐色の排液とは合わない。
📚 国試でよく狙われるところ
縫合不全は、いつ気づくか・何をするかがそのまま問われる。発熱と排液の変化がそろったら疑う、と覚えよう。
- 縫合不全のサイン=発熱、腹痛、頻脈、白血球やCRPの上昇、ドレーン排液の性状の変化。
- 起こりやすいのは、低栄養・糖尿病・副腎皮質ステロイドの使用・喫煙・術前の放射線治療がある人。
- 対応は絶食で腸を休め、ドレナージと抗菌薬を行う。重いときは人工肛門を造って便を迂回させる。
参考: 消化器外科術後のドレーン管理(成人看護学)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について