第104回 看護師国家試験 午後 問84 解説
📝 問題
抗コリン薬の投与が禁忌の疾患はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・4
💡 解説
✅ 抗コリン薬は緑内障(現在は閉塞隅角緑内障)と前立腺肥大症に禁忌である。
抗コリン薬は副交感神経のはたらきを抑える薬で、瞳孔を開き、膀胱の収縮を抑える。 この2つの作用が、そのまま禁忌の理由になる。
瞳孔が開くと目の中の水(房水)の出口がふさがれて眼圧が急に上がるため、緑内障では発作を起こす危険がある。 膀胱が縮みにくくなると尿を出せなくなるため、尿の通り道がもともと狭い前立腺肥大症では尿閉を起こす。 出題時は「緑内障」全体が禁忌とされていたが、2019年の添付文書の改訂で禁忌は閉塞隅角緑内障に限られ、開放隅角緑内障は慎重に使えばよいことになった。
疥癬はヒゼンダニによる皮膚の感染症、大腿骨骨折は外傷で、どちらも抗コリン薬の使用を妨げない。 前頭側頭型認知症では抗コリン作用のある薬で認知機能が悪化しやすく注意はいるが、禁忌には定められていない。
閉塞隅角緑内障とは
目の中の水(房水)の出口である隅角がもともと狭く、ふさがると眼圧が急に上がるタイプの緑内障。瞳孔が開くと起こりやすい。
- 1
疥癬不正解
疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生して起こる感染症で、治療は駆虫薬の外用や内服による。抗コリン薬とは関わりがない。
- 2
緑内障正解
出題時は緑内障全体が禁忌とされていた。瞳孔が開くと房水の出口がふさがれて眼圧が上がるためで、いまこの禁忌は閉塞隅角緑内障に限られている。
- 3
大腿骨骨折不正解
大腿骨骨折は転倒などによる外傷で、治療は手術と早期のリハビリテーションが中心になる。抗コリン薬の使用を妨げない。
- 4
前立腺肥大症正解
膀胱の収縮が抑えられて尿が出しにくくなり、尿閉を起こすことがある。
- 5
前頭側頭型認知症不正解
前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉が萎縮する認知症である。抗コリン作用のある薬は認知機能を悪化させうるため注意して使うが、禁忌には定められていない。
📚 国試でよく狙われるところ
抗コリン薬は「使えない人」と「出やすい副作用」がまとめて問われる。口・目・腸・膀胱の4か所で「乾く・広がる・止まる」と覚えよう。
- 主な副作用=口渇・便秘・尿が出にくい・目のかすみ・眠気。高齢者では認知機能の低下やせん妄にも注意する
- 禁忌は閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症による排尿障害、麻痺性イレウス
- 抗コリン作用は、抗パーキンソン病薬・三環系抗うつ薬・第一世代の抗ヒスタミン薬・過活動膀胱の薬にもある
参考: 薬理学(自律神経作用薬)の教科書/抗コリン作用を有する薬剤の使用上の注意の改訂(厚生労働省・2019年)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について