第104回 看護師国家試験 午前 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(35歳、初産婦)は、夫と2人で暮らしている。妊娠28週2日、妊婦健康診査で胎盤が内子宮口を全部覆っていると指摘された。自覚症状はない。その他の妊娠経過に異常は認められていない。Aさんは、身長155cm、体重56kg(非妊時体重50kg)である。 Aさんの観察項目で最も注意するのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 全前置胎盤では、痛みを伴わない突然の性器出血に最も注意する。
胎盤が内子宮口を全部覆っている状態を全前置胎盤という。 妊娠が進んで子宮の下の部分が引き伸ばされると、そこに付いた胎盤の一部がはがれ、痛みのない性器出血が突然起こる。 これを警告出血といい、少量に見えても短い時間で大量出血に変わることがある。 Aさんは今のところ自覚症状がないが、出血の有無をいちばんに観察する。
他の3つは前置胎盤に特有の所見ではない。 痛みがあるかどうかが、前置胎盤と常位胎盤早期剥離を見分ける手がかりになる。
警告出血とは
前置胎盤で妊娠中に突然おこる、痛みを伴わない少量の性器出血。大量出血の前ぶれとして現れる。
- 1
破水不正解
破水は卵膜が破れて羊水が流れ出ること。前置胎盤でも起こりうるが、先に現れて命に関わるのは出血である。
- 2
激しい腹痛不正解
激しい腹痛と板のように硬くなる子宮は常位胎盤早期剥離の徴候。前置胎盤の出血は痛みを伴わない。
- 3
子宮底の上昇不正解
子宮底は妊娠の経過とともに高くなるのが正常である。急に上がるのは子宮の中に血液がたまったときで、前置胎盤でまず注意する所見ではない。
- 4
痛みを伴わない性器出血正解
子宮の下の部分が伸びるにつれて胎盤がはがれ、痛みを伴わない出血が前ぶれなく起こる。
📚 混同しやすいので注意
前置胎盤と常位胎盤早期剥離は、出血の場面を入れ替えて問われる。痛みがあるかどうかで見分けると迷わない。
| 項目 | 前置胎盤 | 常位胎盤早期剥離 |
|---|---|---|
| 胎盤の位置 | 子宮の下部にあり内子宮口にかかる | 正常な位置に付いている |
| 出血 | 痛みを伴わない外出血 | 外に出る血液は少ないこともある |
| 腹痛・子宮 | 痛みはなく子宮は軟らかい | 持続する強い痛み。子宮は板のように硬い |
| 胎児の状態 | 保たれやすい | 急速に悪くなりやすい |
| 分娩 | 予定帝王切開 | 緊急帝王切開 |
参考: 前置胎盤の管理と看護(母性看護学)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について