第103回 看護師国家試験 午後 問94 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、Aさんは、非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、Aさんは体温37.5℃、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧124/64mmHgであった。血液検査データは、赤血球302万/μL、Hb 10.3g/dL、白血球6,400/μL、総蛋白7.6g/dLであった。 入院当日、Aさんは看護師に「最近、なんとなく手がむくんでいるような気がする」と言う。 Aさんの手のむくみの原因として可能性が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 手のむくみは、縦隔リンパ節の腫大による上大静脈の圧迫で起きている。
Aさんは縦隔にあるリンパ節が腫れて、上大静脈が押されている。上大静脈は頭・顔・両上肢から心臓へ戻る血液の通り道で、ここが細くなると血液が戻れずに上半身にたまる。 手のむくみはその最初の現れである。進むと顔や首のむくみ、頸静脈の怒張、呼吸困難が加わり、上大静脈症候群とよばれる状態になる。
他の3つは、この検査値からは浮腫の原因にならない。 体温37.5℃の発熱でむくみは起こらない。 Hb 10.3 g/dLは軽い貧血で、浮腫の原因にはならない。 総蛋白7.6 g/dLは基準の範囲内で、低蛋白血症にあたらない。
縦隔とは
左右の肺にはさまれた胸の中央の部分。心臓・大血管・気管・食道・リンパ節がある。
- 1
発熱不正解
発熱で出るのは倦怠感や食欲の低下で、むくみは起こらない。
- 2
貧血不正解
貧血で出るのは息切れ・動悸・倦怠感である。Hb 10.3 g/dLはむくみを起こす重さではない。
- 3
低蛋白血症不正解
血清総蛋白の基準は6.7〜8.3 g/dLで、7.6 g/dLは正常である。低蛋白血症は起きていない。
- 4
上大静脈の圧迫正解
上大静脈が押されると上半身の血液が心臓へ戻れず、手・顔・首がむくむ。むくみが上半身に限られるのが上大静脈症候群の特徴である。
📚 国試でよく狙われるところ
上大静脈症候群は、どこがむくむかで見分けさせる。「上半身だけ」が手がかりになる。
- 症状=顔・首・両上肢の浮腫と、胸壁の静脈の怒張。進むと咳・呼吸困難・頭痛が出る
- 強まる姿勢=前かがみや仰向けで悪化し、上体を起こすと楽になる
- 原因=縦隔の腫瘍が多く、肺癌と悪性リンパ腫が代表。腫瘍を小さくする治療が根本の対応になる
参考: 標準的な成人看護学(上大静脈症候群)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について