第103回 看護師国家試験 午前 問87 解説
📝 問題
Aさん(43歳、女性)は、吐血のため救急搬送され、食道静脈瘤破裂に対して緊急止血術が行われた。腹水は少量認められるが、経過は良好で近日中に退院を予定している。Aさんは5年前に肝硬変と診断されている。Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 食道静脈瘤が破裂したあとの食事指導では、固い食品と辛い香辛料を控えるよう伝える。
Aさんは食道静脈瘤が破れて止血したばかりで、いちばん避けたいのは再破裂である。 静脈瘤は食道の粘膜のすぐ下でふくらんでいるため、固い食品が通ると傷つけて出血する。せんべい・揚げ物の衣・骨のある魚などは控え、よくかんでゆっくり飲み込む。 辛い香辛料は粘膜を刺激して充血を招くため、同じ理由で控える。熱すぎる食べ物も避ける。
他の選択肢は、肝硬変で気をつける向きが逆になっている。 蛋白のとりすぎは血液中のアンモニアを増やして肝性脳症を誘い、腹水があるときは塩分を制限する。食物繊維は便秘を防いでアンモニアの発生といきみを抑えるため、むしろとったほうがよい。
肝性脳症とは
肝臓でアンモニアなどを解毒できなくなり、意識がもうろうとしたり手が羽ばたくように震えたりする状態。便秘や蛋白のとりすぎが引き金になる。
- 1
高蛋白食とする。不正解
肝硬変では蛋白のとりすぎがアンモニアを増やし、肝性脳症を誘う。増やさず標準的な量にとどめる。
- 2
塩分は制限しない。不正解
逆。腹水があるため塩分を制限し、体に水がたまらないようにする。
- 3
食物繊維を控える。不正解
逆。便秘は腸内でアンモニアを増やし、いきみが静脈瘤の再破裂を招く。食物繊維はとる。
- 4
固い食品を控える。正解
固い食品は静脈瘤を傷つけて再破裂を起こすため控え、よくかんでゆっくり食べる。
- 5
辛い香辛料を控える。正解
辛い香辛料は食道の粘膜を刺激するため控える。熱すぎる食べ物も同じように避ける。
📚 国試でよく狙われるところ
肝硬変の食事は「制限するもの」と「しっかりとるもの」を入れ替えて問われる。腹水と肝性脳症のどちらを防ぐための指導かで見分けよう。
- 腹水や浮腫があるときは塩分を1日5〜7gに制限する。水分の制限は、低ナトリウム血症があるときに限られる。
- 蛋白は一律に減らさず、肝性脳症が出たときだけ一時的に控えて分岐鎖アミノ酸の製剤で補う。
- 夜間の飢餓を防ぐため、就寝前に軽い補食をとる。
参考: 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン」
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について