第115回 看護師国家試験 午後 問81 解説
📝 問題
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉における地域移行支援について正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 地域移行支援は精神科病院の長期入院患者などの退院を促進する。
地域移行支援は、障害者総合支援法の地域相談支援(地域移行支援+地域定着支援)の一つで、障害者支援施設等に入所している人や精神科病院に入院している人が地域生活へ移り住めるように支援するサービスである。相談支援専門員が住居の確保に同行したり、外出や体験宿泊、障害福祉サービスの体験利用に付き添ったりして、退院・退所を具体的に後押しする。 日本の精神科医療の課題である長期入院の解消を制度面から支える仕組みである。
もう一方の地域定着支援は、地域移行した後の暮らしを支えるサービスで、単身で生活している人などと常時の連絡体制を確保し、緊急時に相談に応じたり訪問したりする。両者は「出るための支援」と「暮らし続けるための支援」という役割分担で覚えるとよい。
就労はこのサービスの前提ではなく、精神障害者保健福祉手帳の所持も利用要件ではない。
- 1
就労を前提に支援する。不正解
就労は地域移行支援の前提でも目的でもない。就労を希望する場合は、就労移行支援・就労継続支援A型/B型・就労定着支援といった訓練等給付のサービスを別に利用する。
- 2
緊急時の対応や訪問を行う。不正解
常時の連絡体制を確保し、緊急時に相談や訪問を行うのは地域定着支援である。地域移行支援は、入院・入所中の人が地域生活へ移るまでの相談と同行が中心になる。
- 3
長期入院患者の退院を促進する。正解
地域移行支援は、障害者支援施設等の入所者や精神科病院の入院者(とくに長期入院者)を対象に、住居の確保、外出への同行、体験宿泊、障害福祉サービスの体験利用などを通じて退院・退所と地域生活への移行を進めるサービスである。
- 4
精神保健福祉手帳の申請が必要である。不正解
障害福祉サービスの利用に障害者手帳は必ずしも必要ではない。精神障害の場合、自立支援医療受給者証や医師の診断書などによって対象と確認されれば、精神障害者保健福祉手帳がなくても利用できる。
- 5
1人で暮らしている精神障害者が対象である。不正解
単身等で地域生活を送っている人を対象とするのは地域定着支援である。地域移行支援の対象は、これから地域生活を始めようとしている入院者・入所者である。
📚 ここも一緒におさえておこう
障害者総合支援法のサービスは、自立支援給付(介護給付・訓練等給付・自立支援医療・補装具・相談支援)と、市町村や都道府県が地域の実情に応じて行う地域生活支援事業に大別される。 相談支援には、サービス等利用計画を作成する計画相談支援と、下表の地域相談支援がある。
| サービス | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 地域移行支援 | 障害者支援施設等の入所者、精神科病院の入院者、救護施設・矯正施設等の退所予定者 | 住居の確保、外出への同行、体験宿泊・体験利用、退院に向けた関係機関との調整 |
| 地域定着支援 | 単身で生活している人、同居家族による支援が受けられない人 | 常時の連絡体制の確保、緊急時の相談・訪問・一時的な滞在の支援 |
参考: 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)の地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)/厚生労働省「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について