第115回 看護師国家試験 午後 問53 解説
📝 問題
膀胱癌で手術療法を予定している成人で、緊急の対応が必要な症状はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 尿閉は尿が排出できない状態で、導尿など緊急の対応を要する。
膀胱癌の主症状は無症候性肉眼的血尿であり、進行すると腫瘍からの出血で膀胱内に凝血塊が生じる。 これが膀胱頸部や尿道を塞ぐと尿がまったく出せない尿閉(膀胱タンポナーデ)となり、膀胱の過伸展と強い下腹部痛、さらには水腎症から腎後性腎不全へ進む危険がある。 導尿・膀胱洗浄などの緊急対応が必要である。
残尿感・排尿痛・頻尿は膀胱刺激症状で、膀胱癌でもみられるが、直ちに生命や腎機能を脅かすものではない。 尿が「出にくい」ではなく「まったく出ない」という訴えは緊急のサインだと覚えておく。
水腎症とは
尿の出口がふさがれて腎臓に尿がたまり、腎盂が広がった状態。長く続くと腎機能が落ちる。
- 1
残尿感不正解
残尿感は膀胱刺激症状の1つで、膀胱癌のほか膀胱炎などでもみられる。不快ではあるが、直ちに腎機能や生命を脅かす状態ではない。
- 2
尿閉正解
尿閉は膀胱内に尿がたまっているのに排出できない状態で、下腹部の膨隆と強い苦痛を伴う。膀胱癌では凝血塊による閉塞が原因となることが多く、導尿・膀胱洗浄などの緊急対応を要する。
- 3
排尿痛不正解
排尿痛は腫瘍や感染による膀胱・尿道粘膜の刺激で生じる症状で、緊急度は高くない。
- 4
頻尿不正解
頻尿は膀胱の刺激や有効容量の低下によって起こる。尿は排出できているため、尿閉のような急性の危険はない。
📚 混同しやすいので注意
尿が出ない状態は、尿閉・無尿・乏尿・多尿を入れ替えて問われる。「膀胱に尿がたまっているかどうか」で見分けよう。
- 尿閉=腎臓で尿は作られているが膀胱から排出できない。膀胱は膨隆し、導尿で尿が得られる
- 無尿=1日の尿量100mL未満。腎前性・腎性・腎後性を鑑別する。導尿しても尿は得られない
- 乏尿=1日の尿量400mL未満
- 多尿=1日の尿量おおむね2,500〜3,000mL以上
参考: 膀胱癌診療ガイドライン(日本泌尿器科学会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について