第114回 看護師国家試験 午前 問47 解説
📝 問題
急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 急性期には交感神経と副腎髄質が働き、カテコールアミンの分泌が亢進する。
手術や外傷などの侵襲を受けると、体は血圧を保ち組織を治すために神経とホルモンを総動員する。
まず交感神経と副腎髄質が働いてカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)が増え、 ・心拍数と血圧が上がる ・末梢の血管が縮み、大事な臓器への血流が確保される ・血糖が上がる
続いて下垂体と副腎皮質も働き、コルチゾール・抗利尿ホルモン・アルドステロンが増える。
この時期の体は、傷を治すためにエネルギーを大量に使う「戦闘モード」だと考えると、どの記述が正しいか見分けやすい。
- 1
エネルギー代謝が低下する。不正解
逆。急性期は代謝が高まり、エネルギー消費は増える。発熱・頻脈・酸素消費の増加がその現れ。
- 2
蛋白質の同化が異化を上回る。不正解
逆。侵襲を受けた時期は蛋白質の異化が同化を上回り、骨格筋が分解される。同化が優位になるのは回復期以降。
- 3
カテコールアミンの分泌が亢進する。正解
正しい。侵襲の直後に真っ先に起こる反応で、頻脈・血圧上昇・末梢血管の収縮・血糖上昇をもたらす。
- 4
抗利尿ホルモン〈ADH〉の分泌が低下する。不正解
逆。抗利尿ホルモンは増える。アルドステロンとともに水とナトリウムを体にとどめるため、尿量は減る。
📚 これとセットで理解しよう
術後の体の変化は4つの時期に分けて考えると、いつ何を観察するかが決まる。
- 術後は血管から水分が漏れてむくみが起き、尿が減りやすくなります。これをサードスペースという。サードスペース=血管の中でも細胞の中でもない場所(間質)へ体液が移った状態。術後1〜2日はここにたまり、その後血管内へ戻って尿量が増える。
- 侵襲を受けると血糖が上がりやすい。糖尿病のある人ではとくに血糖の管理が重要になる。
| 相 | 時期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1相 傷害期 | 術後〜2〜4日 | カテコールアミン・コルチゾール・抗利尿ホルモンが増加、頻脈、尿量減少、異化亢進 |
| 第2相 転換期 | 術後3〜7日 | 尿量が増える、腸の動きが戻る、痛みがやわらぐ |
| 第3相 筋力回復期 | 術後1週〜数週 | 蛋白質の同化が進んで筋力が回復し、食欲が戻る |
| 第4相 脂肪蓄積期 | 術後数週〜数か月 | 体脂肪がつき、体重が戻る |
参考: Moore FD 外科的侵襲後の回復過程(4相)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について