第111回 看護師国家試験 午後 問27 解説
📝 問題
若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 高齢者が熱中症を起こしやすいのは自律性体温調節反応の低下による。
高齢になると、汗をかく力や皮膚の血管を広げる力が落ちる。この自律性体温調節反応の低下によって体の熱を外へ逃がしきれず、暑い環境で体温が上がってしまう。 さらにのどの渇きを感じにくく、体液量も少ないため脱水になりやすい。これが重なって、若年者より熱中症を起こしやすい。
他の選択肢は向きが合わない。熱産生量の増加は体温を上げる話で、高齢者の特徴でもない。熱放散量の増加は熱を逃がす方向なので、むしろ熱中症を防ぐ側にはたらく。セットポイントの低下は発熱を説明する言葉であり、熱中症の起こり方とは別である。
出題時の重症度分類はⅠ〜Ⅲ度の3段階。2024年の熱中症診療ガイドラインでⅣ度が加わった。
自律性体温調節反応とは
意識しなくても体が自動で行う体温の調節。暑いときは汗をかき、皮膚の血管を広げて熱を外へ逃がす。
セットポイントとは
体温調節中枢が目標として決めている体温。感染などでこれが上がると、体はそこまで熱を上げようとして発熱する。
- 1
熱産生量の増加不正解
熱産生量の増加は体温を上げる方向で、熱中症のなりやすさの説明にならない。
- 2
熱放散量の増加不正解
熱放散量の増加はむしろ放熱を促し体温上昇を防ぐ方向。
- 3
自律性体温調節反応の低下正解
加齢による発汗・血管拡張など体温調節反応の低下である。
- 4
視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下不正解
セットポイントの低下は発熱の概念で、熱中症の機序と関係しない。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者は体内水分量が少なく(体重の約50%)、口渇も感じにくいため、時間を決めて水分をとるよう促す。高齢者の熱中症は屋内・非労作性で起こることが多い。
- 汗をかいたときは水分だけでなく塩分(電解質)も補う。経口補水液が適する。
- 応急処置は涼しい場所へ移す→衣服を緩める→頸部・腋窩・鼠径部を冷やす→水分・塩分の補給。
- 自力で水分がとれない、意識がおかしい場合はただちに医療機関へ搬送する。
- 高齢者は低体温にも陥りやすい。暑さ・寒さの感じ方が鈍いため、室温は本人の感覚に頼らず温度計で管理する。
| 分類 | 主な症状 | 対応 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の発汗 | 涼所へ移し冷却、経口で水分・塩分を補給。現場で対応可 |
| Ⅱ度 | 頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力・判断力の低下 | 医療機関を受診。輸液が必要なことが多い |
| Ⅲ度 | 意識障害、けいれん、高体温、肝・腎障害、凝固異常 | ただちに救急要請。入院・積極的冷却と集中治療 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について