第111回 看護師国家試験 午後 問103 解説
📝 問題
次の文を読み103~105の問いに答えよ。 Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎による中等度の脱水症と診断され入院した。入院時、体温38.2℃、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90cm、体重12.5kgであった。 Aちゃんにみられる状態はどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 中等度脱水では皮膚のツルゴール(緊張)が低下する。
Aちゃんは下痢・嘔吐を繰り返し、中等度の脱水症と診断されている。脱水では細胞外液が減り、皮膚の弾力(ツルゴール)が低下する。 皮膚をつまんで離しても元に戻りにくくなるのが、その所見である。
中等度の脱水では、ほかに体重の減少、尿量と排尿回数の減少、涙の減少、口唇や粘膜の乾燥、頻脈がみられる。 体重・涙・排尿の3つが「普段どおり」なら、そもそも脱水とは判断できない。
意識は、中等度では清明〜不機嫌程度にとどまる。昏睡がみられるのは、高度脱水でショックに至った段階である。
ツルゴールとは
皮膚の張り・弾力のこと。手の甲などをつまんで離したとき、元に戻るのが遅ければ脱水を疑う。
細胞外液とは
細胞の外側にある体液で、血液の液体成分と細胞のすきまを満たす水分をさす。下痢や嘔吐でまず減るのがこの部分。
- 1
昏睡状態である。不正解
昏睡は重度脱水・ショックの所見。中等度脱水では意識は清明〜不機嫌程度。
- 2
流涙は普段と変わらない。不正解
脱水では涙(流涙)は減少する。普段と変わらないのは誤り。
- 3
体重は3日前と変わらない。不正解
脱水では体液喪失により体重が減少する。変わらないのは誤り。
- 4
排尿頻度は普段通りである。不正解
脱水では尿量・排尿回数が減少する。普段通りは誤り。
- 5
皮膚のツルゴールは低下している。正解
脱水で細胞外液が減少し、皮膚のツルゴール(緊張・弾力)が低下する。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
小児は体重あたりの水分必要量と体表面積が大きく、細胞外液の割合が高いため、脱水になりやすい。 最も客観的な指標は体重の変化で、発症前の体重と比べる。
- 軽症〜中等症の脱水では経口補水療法〈ORT〉が第一選択。少量ずつ頻回に飲ませる。
- ウイルス性胃腸炎では、嘔吐が落ち着いてから経口補水を開始する。
- 乳児は大泉門の陥凹も脱水の重要なサインになる。
| 軽度 | 中等度 | 高度 | |
|---|---|---|---|
| 体重減少の目安 | 約5% | 約10% | 約15% |
| 皮膚のツルゴール | 正常〜やや低下 | 低下 | 著明に低下 |
| 大泉門・眼窩 | 正常 | 陥凹 | 著明に陥凹 |
| 涙・口腔粘膜 | やや乾燥 | 涙が減る・乾燥 | 涙が出ない・著明に乾燥 |
| 尿量 | やや減少 | 減少 | ほとんど出ない |
| 意識・循環 | 不変 | 不機嫌・頻脈 | 傾眠〜昏睡・ショック |
乳児の目安。年長児ではおおむね3%・6%・9%とされる。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について