第110回 看護師国家試験 午前 問96 解説
📝 問題
A さん(26歳、男性)は急性骨髄性白血病で造血幹細胞移植を受けた。造血幹細胞移植後、生着が確認された。皮膚にStageⅠの移植片対宿主病を発症したが、免疫抑制薬の内服を継続しつつ退院することになった。 A さんの退院に向けた看護師の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・4
💡 解説
✅ 免疫抑制状態のため加熱していない魚介類を避け、直射日光を避けるよう指導する。
造血幹細胞移植後で移植片対宿主病(GVHD)を発症し、免疫抑制薬を続けているAさんは高度の易感染状態にある。 加熱していない魚介類は食中毒や感染の原因になるため、非加熱の食品は避けるよう指導する。 免疫抑制薬(特にカルシニューリン阻害薬)や皮膚GVHDでは光線過敏が生じやすく、直射日光はGVHDの増悪や皮膚障害の要因となるため、日光を避けるよう指導する。
他の選択肢は誤りである。免疫抑制薬は皮膚がよくなっても自己判断で中止しない。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、免疫抑制下でも接種できる。入浴は皮膚を清潔に保つために必要で、控えさせる指導は誤りである。
易感染状態とは
体を守る免疫の力が落ち、健康な人ならかからない弱い菌やウイルスでも感染してしまう状態。
光線過敏とは
ふつうなら問題にならない量の日光で、赤みや水疱、かゆみが出ること。薬の副作用として起こることがある。
- 1
「皮膚の状態がよくなれば免疫抑制薬は中止してください」不正解
自己判断での免疫抑制薬中止はGVHD再燃を招き危険。継続が必要。
- 2
「加熱していない魚介類を食べるのは避けましょう」正解
非加熱の魚介類は感染源となるため、易感染状態では避ける。
- 3
「インフルエンザワクチンの接種は避けてください」不正解
インフルエンザは不活化ワクチンで接種可。避けるのは生ワクチン。
- 4
「直射日光に当たらないようにしましょう」正解
免疫抑制薬・皮膚GVHDで光線過敏が生じやすく、直射日光を避ける。
- 5
「入浴は最小限にしてください」不正解
皮膚の清潔保持のため入浴は必要で、最小限にする指導は不適切。
📚 ここも一緒におさえておこう
移植後の退院指導は、感染を避ける暮らし方と薬の続け方が繰り返し問われる。「加熱する・清潔にする・日光を避ける」の3つを生活の場面ごとに当てはめよう。 免疫抑制状態では生ワクチン(麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎・BCG・ロタ)は禁忌、不活化ワクチン(インフルエンザ・肺炎球菌など)は接種できる。
- 食事=加熱調理したものを基本とし、加熱していない魚介類・肉・卵、生野菜や皮のむけない果物は避ける
- 環境=手洗い・含嗽、人混みを避けマスクを着用、土いじり・鉢植え・ペットの排泄物を避ける(真菌感染の予防)
- 皮膚=直射日光を避け、日焼け止めや長袖で慢性GVHDの増悪を防ぐ。入浴で清潔を保つ
- 免疫抑制薬は自己判断で中止しない。発熱・下痢・皮疹・黄疸が出たらすぐ連絡する
- 移植後は移植前に獲得した免疫が失われるため、時期をみて予防接種を再度受ける
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について