第110回 看護師国家試験 午前 問94 解説
📝 問題
A さん(26歳、男性)は1か月前から動悸と20 m程度の歩行でも息切れが出現するようになった。ぶつけた記憶もないのに下肢に出血斑ができるようになり、医療機関を受診した。A さんは急性白血病を疑われ、緊急入院し、後腸骨稜から骨髄穿刺を受けた。身体所見:意識清明、体温37.2℃、呼吸数17/分、脈拍124/分、血圧96/52 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97 %(room air)、両下肢に散在する出血斑あり。検査所見:Hb 5.1 g/dL、白血球44,960/μL、血小板1.5万/μL、総ビリルビン1.1 mg/dL、尿素窒素19.4 mg/dL、クレアチニン0.76 mg/dL、CRP 2.2 mg/dL。胸部エックス線:縦郭・心陰影・肺野に異常なし。 A さんの骨髄穿刺の30分後に観察すべき項目で優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 血小板1.5万/μLと著明な血小板減少があり、穿刺部の止血状態を最優先で観察する。
Aさんは急性白血病が疑われ、検査では血小板1.5万/μLと著しい血小板減少を認める(正常は約15〜35万/μL)。 すでに両下肢に出血斑があるように易出血状態にあり、骨髄穿刺という侵襲的処置後は穿刺部からの出血・止血遅延が最も起こりやすく危険である。 穿刺後30分の観察では、穿刺部の止血状態の確認が最優先となる。
他の選択肢のSpO2や眼瞼結膜(貧血の指標)、下肢の運動の確認も大切な観察項目だが、処置直後30分という時点で最優先すべきは処置に直接関連する出血合併症である。
骨髄穿刺後は圧迫止血を確実に行い、出血斑の拡大や血腫形成の有無を経時的に観察する。 重度の血小板減少では通常より止血に時間がかかるため、砂嚢による圧迫や安静保持を徹底する。
骨髄穿刺とは
腸骨などに細い針を刺して骨髄液を採り、血球が作られている様子を顕微鏡で調べる検査。白血病の診断に欠かせない。
眼瞼結膜とは
まぶたの裏側の粘膜。血管が透けて見えるため、下まぶたをめくって色をみると貧血の程度をおおまかにつかめる。
- 1
経皮的動脈血酸素飽和度不正解
SpO2 97%と保たれ、骨髄穿刺後30分に最優先で観察すべき項目ではない。
- 2
穿刺部の止血状態正解
血小板1.5万/μLの易出血状態で、穿刺部の出血・止血遅延の観察が最優先。
- 3
下肢の運動障害不正解
後腸骨稜穿刺で下肢運動障害は通常生じにくく、優先度は低い。
- 4
眼瞼結膜不正解
眼瞼結膜は貧血の指標だが、処置直後30分の緊急観察としては出血に劣る。
📚 国試でよく狙われるところ
血液の病気は、どの血球が減ってどんな症状が出るかと、骨髄穿刺の介助が問われる。赤血球=貧血、血小板=出血、好中球=感染と結びつけ、穿刺の部位と穿刺後の観察まで覚えよう。 血小板が5万/μL未満になると出血傾向が現れ、2万/μL未満では脳出血や消化管出血など重篤な自然出血の危険が高まる。
- 出血予防=転倒・打撲を避ける、柔らかい歯ブラシを使う、排便時のいきみを避ける(便秘予防)、鼻を強くかまない、筋肉内注射を避ける
- 骨髄穿刺の部位=成人は後腸骨稜(上後腸骨棘)や胸骨。小児では脛骨も用いる
- 穿刺後は圧迫止血を行い、砂嚢などで圧迫して安静を保ち、出血・血腫・疼痛・発熱を観察する
- 急性白血病では貧血・出血傾向・感染という正常血球減少による3つの症状に注意する
- 好中球が500/μL未満では感染リスクが高く、発熱性好中球減少症は緊急の対応を要する
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について