第110回 看護師国家試験 午前 問93 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

A さん(43歳、女性)は右腓骨骨折でプレート固定術を受けた。身長150 cm、体重98 kgで睡眠時のいびきと無呼吸がある。手術後2日。A さんはバイタルサインも安定しているため、離床の準備を始めることになった。 初回離床時に最も注意すべき訴えはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 肺血栓塞栓症を示唆する「息苦しい」の訴えに最も注意する。

術後2日目の初回離床は、下肢深部静脈で形成された血栓が体動により遊離し肺動脈を閉塞する肺血栓塞栓症が発症しやすいタイミングである。 高度肥満・下肢のプレート固定術後・睡眠時無呼吸という強い血栓リスクを持つAさんでは特に警戒を要する。 離床直後の「息苦しい」という訴えは肺血栓塞栓症による突然の呼吸困難を示す可能性があり、最も注意すべきサインである。

肺血栓塞栓症は突然の呼吸困難・胸痛・頻呼吸・SpO₂低下・ショックを呈し、致死的経過をとりうる。 初回離床時には離床前に下肢腫脹・疼痛の確認を行い、離床はゆっくり段階的に進める。 呼吸困難・胸痛が出現した際はただちに臥床させ酸素投与・応援要請を行う。

気道クリアランスとは

痰やほこりなど気道に入ったものを外へ出す働き。手術後は創部の痛みや麻酔の影響で咳が弱まり、落ちやすい。

  • 1

    「息苦しい」正解

    初回離床時の突然の息苦しさは肺血栓塞栓症を示唆する最重要サイン。

  • 2

    「腰が重い」不正解

    腰の重さは臥床に伴う一般的訴えで、緊急性は低い。

  • 3

    「痰が出る」不正解

    喀痰は術後の気道クリアランスの問題だが、致死的な塞栓症ほどの緊急性はない。

  • 4

    「傷口が引きつる」不正解

    創部の引きつれは治癒過程で生じうる訴えで、最優先ではない。

📚 これとセットで理解しよう

初回離床は、起こす前に何を確かめ、どこで中止するかまで含めて問われる。起こす前・起こす途中・異常が出たときの3場面に分けて覚えよう。 早期離床は廃用症候群の予防と呼吸・循環・消化機能の回復に有効だが、初回離床は起立性低血圧と肺血栓塞栓症のリスクが高い時点でもある。

  • 手順=バイタルサインの確認→ベッド上での足関節運動→段階的に(ギャッチアップ→端座位→立位→歩行)
  • 中止・中断の目安=めまい・冷汗・顔面蒼白、収縮期血圧の20mmHg以上の低下、呼吸困難、胸痛、SpO₂低下
  • 離床前に下肢の腫脹・疼痛・熱感を確認し、深部静脈血栓症が疑われる場合は医師に報告する
  • 離床時はドレーン・点滴ラインの固定と長さを確認し、転倒と自己抜去を防ぐ
  • 離床直後の呼吸困難・胸痛はただちに臥床させ、酸素投与と応援要請を行う

出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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