第108回 看護師国家試験 午後 問93 解説
📝 問題
Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎、肝硬変と診断され、1回の入院歴がある。夕食の2時間後に約1,100 mLの吐血があり、緊急入院となった。 検査の結果、C型肝炎に対し抗ウイルス療法が開始され、退院後は定期的に外来通院することになった。 退院に向けたAさんへの食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・5
💡 解説
✅ 食道静脈瘤・肝硬変の再出血予防には禁酒と、粘膜を傷つけない配慮として熱い食べものを避けることが適切である。
肝硬変の進行と食道静脈瘤の破裂を防ぐうえで最も重要なのは、飲酒をやめること(禁酒)である。 アルコールは肝細胞を傷つけ門脈圧亢進を強めるため、毎日の飲酒は病態悪化の主因になる。 食道静脈瘤がある人では、熱いもの・硬いもの・刺激物が食道の粘膜を傷つけて再出血を招くので、熱い食べものを避けるよう指導する。
他の3つは、いまの肝硬変の食事療法とは合わない。 蛋白は多くとればよいのではなく、低栄養やサルコペニアを防ぐ範囲で適量をとり、肝性脳症があるときは調整する。 食物繊維は便通を整え、腸で作られるアンモニアを減らす方向に働く。 カリウム制限は腎不全のときの配慮である。
サルコペニアとは
加齢や低栄養で筋肉量と筋力が落ちた状態。肝硬変では栄養が不足しやすく、経過を悪くする要因になる。
- 1
禁酒する。正解
飲酒は肝障害と門脈圧亢進を助長し静脈瘤破裂の主因となるため、禁酒が最優先の食事指導である。
- 2
食物繊維を控える。不正解
食物繊維は便通を整えアンモニアの産生・吸収抑制にも働くため、控える必要はない。
- 3
高蛋白食を摂取する。不正解
肝性脳症を伴う場合は蛋白の過剰摂取が病態を悪化させるため、一律の高蛋白食は適切でない。
- 4
カリウム制限をする。不正解
カリウム制限は腎不全時の配慮であり、肝硬変・食道静脈瘤の食事指導として一般的ではない。
- 5
熱い食べものを避ける。正解
熱い食べものは静脈瘤を含む食道粘膜を傷つけ再出血を招くおそれがあり、避けるよう指導する。
📚 国試でよく狙われるところ
肝硬変の食事療法は「一律の蛋白制限」から適正な蛋白摂取と低栄養予防へ考え方が変わっている。
- 代償期は十分なエネルギーと良質な蛋白を確保し、低栄養・サルコペニアを防ぐ
- 肝性脳症を伴う場合は蛋白を調整し、分岐鎖アミノ酸〈BCAA〉製剤を用いる
- 夜間の飢餓状態を避けるため就寝前補食〈LES〉が勧められる
- 腹水・浮腫があれば食塩制限と水分管理を行う
- 食道静脈瘤がある間は熱いもの・硬いもの・刺激物を避け、よく噛んで食べる
参考: 日本消化器病学会「肝硬変診療ガイドライン」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について