第108回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
Aさん(52歳、男性)は、5年前にC型肝炎、肝硬変と診断され、1回の入院歴がある。退院後、医療機関への受診を中断し3年が経過している。毎日、ウイスキーを約300 mL飲んでいる。夕食の2時間後に約1,100 mLの吐血があり、緊急入院となった。 入院から4日が経過し、Aさんは医師から「C型肝炎、肝硬変の患者は肝細胞癌を発症することがある」と説明を受けた。Aさんはスクリーニングの目的で、肝臓から骨盤内臓器までの範囲で腹部超音波検査を受けることになった。 検査前日に看護師が行う説明で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 肝臓から骨盤内臓器までの腹部超音波検査では消化管ガスや内容の影響を避けるため、当日起床時から絶食が正しい説明である。
腹部超音波検査は、音波の伝わりを妨げる消化管ガスや食物残渣があると画像が不鮮明になる。 特に肝臓・胆嚢・膵臓などの上腹部では、食後に胆嚢が収縮して内部を観察できなくなるため、検査当日は起床時から絶食とするのが標準的な準備である。
他の3つは、この検査に必要な準備ではない。 超音波検査は造影剤を使わないので、アレルギーの確認は要らない。 肝臓から骨盤内までを見る検査なので、直前に排尿すると膀胱が空になり、かえって見えにくくなることがある。 放屁は我慢しても腸管ガスは減らないので、出してもらってよい。
音響窓とは
超音波が通りやすく、奥の臓器がよく見える通り道のこと。骨盤内では尿がたまった膀胱がこの役目を果たす。
- 1
「検査直前に排尿を済ませてください」不正解
骨盤内臓器を含む検査では膀胱充満を音響窓に利用することがあり、検査直前の排尿を一律に指示するのは適切でない。
- 2
「おならは検査が終わるまで我慢してください」不正解
放屁を我慢しても検査精度は上がらず、かえって腸管ガスの貯留を招く。我慢の指示は不要である。
- 3
「造影剤のアレルギーがあれば教えてください」不正解
超音波検査は造影剤を用いないため、造影剤アレルギーの確認は不要である(造影CT等との混同に注意)。
- 4
「検査当日は、起床時から飲食物を摂取しないでください」正解
消化管ガスや胆嚢の収縮を避けて画像を鮮明にするため、検査当日は起床時から絶食とする。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
検査前の準備は検査ごとに何を避けたいかから考えると丸暗記にならない。
- 超音波検査は放射線被曝がなく非侵襲的で、繰り返し行える
- 腹部超音波では消化管ガスが最大の妨げになる
| 検査 | 前処置 |
|---|---|
| 腹部超音波検査 | 当日は絶食。骨盤内臓器の観察では膀胱を充満させることがある |
| 上部消化管内視鏡検査 | 前日夕食後から絶食。検査前に咽頭麻酔 |
| 下部消化管内視鏡検査 | 前日から低残渣食、腸管洗浄剤で前処置 |
| 造影CT検査 | ヨード造影剤アレルギー・腎機能を確認。ビグアナイド薬は休薬 |
| MRI検査 | 体内金属・ペースメーカの確認。磁性体の持ち込み禁止 |
参考: 日本超音波医学会「腹部超音波検査の標準的手技」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について