第107回 看護師国家試験 午後 問60 解説
📝 問題
統合失調症の幻覚や妄想に最も関係する神経伝達物質はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 統合失調症の幻覚や妄想に最も関係する神経伝達物質はドパミンである。
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)には、中脳辺縁系のドパミン神経系の過活動が関わると考えられている(ドパミン仮説)。 抗精神病薬の多くはドパミンD2受容体を遮断して陽性症状を抑えるので、幻覚・妄想に最も関係する神経伝達物質はドパミンである。
他の3つも脳ではたらくが、結びつく疾患が違う。セロトニンはうつ病・不安障害と、非定型抗精神病薬の作用に関係する。 アセチルコリンはアルツハイマー型認知症や自律神経系、ノルアドレナリンはうつ病や覚醒・ストレス反応と関係が深い。 統合失調症=ドパミン過活動(陽性症状)、抗精神病薬=D2遮断という基本を押さえたい。
非定型抗精神病薬とは
ドパミンだけでなくセロトニンにも作用する、新しい世代の抗精神病薬。錐体外路症状は出にくいが、体重増加や耐糖能異常に注意する。
- 1
ドパミン正解
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)にはドパミン神経系の過活動が関与し、最も関係する神経伝達物質である。
- 2
セロトニン不正解
セロトニンはうつ・不安や非定型抗精神病薬の作用に関与するが、幻覚・妄想に最も関係する物質ではない。
- 3
アセチルコリン不正解
アセチルコリンはアルツハイマー型認知症や自律神経に関連し、統合失調症の幻覚・妄想の主因ではない。
- 4
ノルアドレナリン不正解
ノルアドレナリンはうつ病や覚醒・ストレス反応に関連し、統合失調症の幻覚・妄想に最も関係する物質ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
統合失調症は、神経伝達物質・症状・薬の副作用がひとつづきで問われる。物質と疾患の組合せに加えて、抗精神病薬で何に注意するかまで覚えよう。
- 陽性症状=幻覚(幻聴が最多)・妄想・思考障害・興奮、陰性症状=感情鈍麻・意欲低下・自閉・思考の貧困
- 抗精神病薬の副作用:錐体外路症状(パーキンソニズム・アカシジア・急性ジストニア・遅発性ジスキネジア)、高プロラクチン血症、体重増加・耐糖能異常(非定型薬)
- 悪性症候群は高熱・筋強剛・意識障害・CK上昇・自律神経症状をきたす緊急事態で、治療薬はダントロレン
- クロザピンは治療抵抗性統合失調症に用いるが、無顆粒球症の危険があり血液モニタリングが必須
- 多飲による水中毒(低ナトリウム血症)にも注意する
| 神経伝達物質 | 主な関連 |
|---|---|
| ドパミン | 統合失調症の陽性症状(過活動)、パーキンソン病(黒質線条体で減少)、依存・報酬系 |
| セロトニン | うつ病・不安障害(SSRI)、非定型抗精神病薬の作用 |
| アセチルコリン | アルツハイマー型認知症(減少)、重症筋無力症、副交感神経の伝達 |
| ノルアドレナリン | 覚醒・ストレス反応、うつ病(SNRI) |
| GABA | 中枢の主な抑制性伝達物質。ベンゾジアゼピン系薬が作用 |
参考: 精神看護学 標準テキスト/日本神経精神薬理学会 関連資料
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について