第107回 看護師国家試験 午後 問50 解説
📝 問題
高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 高齢者では代謝・排泄能が低下するため、薬物の血中濃度の半減期が延長する。
高齢者では加齢により肝血流量・肝代謝機能が低下し、腎機能(糸球体濾過量)も低下するため、薬物の代謝・排泄能が落ちる。 その結果、薬物が体内に長くとどまり、血中濃度の半減期が延長する。 さらに体内水分量の減少・脂肪組織の相対的増加により分布容積も変化し、薬物が蓄積して副作用が出やすくなる。
他の3つはいずれも「亢進・増加」としているが、高齢者では吸収は大きく変わらないか低下傾向、代謝は低下、排泄も低下するのが基本である。 少量から慎重に投与し、多剤併用(ポリファーマシー)に注意することが看護上の要点となる。
- 1
薬物の吸収の亢進不正解
高齢者では薬物の吸収は亢進せず、変化しにくいか低下傾向である。
- 2
薬物の代謝の亢進不正解
肝機能低下により薬物の代謝は亢進ではなく低下する。
- 3
薬物の排泄の増加不正解
腎機能低下により薬物の排泄は増加ではなく低下する。
- 4
血中濃度の半減期の延長正解
代謝・排泄能の低下により薬物が体内に長くとどまり、血中濃度の半減期が延長する。
📚 国試でよく狙われるところ
高齢者の薬物有害事象は、薬物動態の変化と多剤併用が重なって起こる。吸収・分布・代謝・排泄のどれが低下して、どんな害につながるかを対にして覚えよう。
- 投与は少量から開始し、ゆっくり増量するのが原則
- 特に慎重な投与を要する薬物:ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬(転倒・骨折・せん妄)、抗コリン薬(口渇・便秘・尿閉・認知機能低下)、非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉(消化管出血・腎障害)
- ポリファーマシーは有害事象・服薬アドヒアランス低下・転倒の要因となる
- 服薬支援には一包化、服薬カレンダー、服用回数の簡素化、家族や訪問看護による確認が有効
| 過程 | 加齢による変化 | 影響 |
|---|---|---|
| ①吸収 | 胃酸分泌低下、消化管運動・血流の低下 | 大きな変化は少ない(変わらないか、やや低下) |
| ②分布 | 体内水分量・血清アルブミンの減少、体脂肪の相対的増加 | 水溶性薬物の血中濃度上昇、脂溶性薬物の蓄積、遊離型薬物の増加 |
| ③代謝 | 肝血流量・肝重量の低下 | 初回通過効果の低下、代謝の遅延 |
| ④排泄 | 糸球体濾過量の低下 | 排泄の遅延、半減期の延長・蓄積 |
参考: 高齢者の医薬品適正使用の指針(厚生労働省)
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について