第107回 看護師国家試験 午後 問119 解説
📝 問題
次の文を読み118、119の問いに答えよ。 A さん(34歳、経産婦)。正常分娩後、産褥経過中。長男の B 君(3歳)がいる。 産褥5日。A さんの退院のため、夫と B 君が迎えに来た。A さんは B 君の自宅での様子を夫から聞いた。B 君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知った A さんは B 君を抱きしめ、B 君の話をゆっくり聞いていた。A さんは退院後の B 君への対応について心配になり、看護師に相談した。 A さんへの説明で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 上の子(B君)の赤ちゃん返りへの対応としては、B君と一緒に赤ちゃんの世話をするよう勧めるのが最も適切である。
3歳のB君は、弟が生まれたあと食事の介助を求めたり「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしている。退行(赤ちゃん返り)と、母親を取られる不安・嫉妬の表れである。 この時期に大切なのは、B君が「自分も大切にされている」と感じられることである。 赤ちゃんの世話に一緒に参加してもらうと、お兄ちゃんとしての役割が生まれ、母親と過ごす時間も確保できる。
他の3つは、B君が求めているもの(母親に自分も見てもらうこと)から離れている。好きな物を出すのはその場しのぎ、世話を夫に任せると母親と過ごす時間がさらに減り、「お兄ちゃんでしょう」と諭すのは我慢を上乗せする。
- 1
「B 君に好きな物を食べさせましょう」不正解
好きな物を与えるのは一時的な対応で、B君の情緒的な欲求(母親に大切にされたい)には応えない。
- 2
「B 君の世話は夫にしてもらいましょう」不正解
世話を夫に任せると母親とB君の関わりが減り、B君が求める母親の愛情を得られず逆効果になりうる。
- 3
「B 君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」正解
B君を赤ちゃんの世話に参加させることで兄としての役割と自尊心を育み、情緒的安定を図れて最も適切。
- 4
「B 君に兄としてしっかりするように話しましょう」不正解
「兄としてしっかり」と諭すのは3歳児に過度な我慢を強い、不安や退行をかえって強める。
📚 ここも一緒におさえておこう
弟妹の誕生は上の子にとって大きな環境の変化で、退行(赤ちゃん返り)は自然な反応である。どんな行動が出るか、どう声をかけるかを対にして覚えよう。
- 退行の例=哺乳瓶を欲しがる・指しゃぶり・夜尿・食事の介助を求める・赤ちゃん言葉
- 対応の原則は叱らない・突き放さない。甘えを受け止め、上の子と過ごす時間を意識的につくる
- 「お兄ちゃんでしょう」と我慢を強いる声かけは、不安と嫉妬を強める
- おむつを取ってきてもらうなど赤ちゃんの世話に参加してもらい、できたことを認めて自尊心を支える
- エリクソンの発達課題では3歳前後は自主性 対 罪悪感の時期にあたり、主体的に関われる役割が育ちを助ける
参考: 日本小児保健協会「乳幼児の発達と育児支援」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について