第107回 看護師国家試験 午前 問95 解説
📝 問題
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(55歳、男性)。胃癌のため胃全摘出術を受けた。手術後5日からAさんの食事が開始された。Aさんは食事の後に、めまい、顔面紅潮、動悸、下腹部痛を伴う下痢が出現し、冷汗がみられるようになった。 現状で最も考えられるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 食後まもなくのめまい・動悸・冷汗・下痢などは早期ダンピング症候群の典型症状である。
胃全摘出術後は胃の貯留・調節機能が失われ、高浸透圧の食物が急速に小腸へ流入する。 食後30分以内に起こる早期ダンピング症候群では、腸管内への急激な水分移動による循環血漿量減少と、消化管ホルモン・自律神経反応により、めまい・顔面紅潮・動悸・冷汗・腹痛・下痢が生じる。 本問の「食後」「めまい・顔面紅潮・動悸・下痢・冷汗」という組み合わせはこれに合致する。
他の選択肢は、症状の出方が合わない。 術後せん妄は意識や注意の変動が主で、乳糖不耐症は乳製品を摂ったあとの腹部膨満・下痢、偽膜性大腸炎は抗菌薬を使ったあとの下痢・発熱が中心である。
- 1
術後せん妄不正解
術後せん妄は意識・注意の変動を主症状とし、食後の自律神経症状の反復という本問の病態とは異なる。
- 2
乳糖不耐症不正解
乳糖不耐症は乳製品摂取後の腹部膨満・下痢が主で、めまい・冷汗・動悸を伴う本問の急性症状とは合致しない。
- 3
偽膜性大腸炎不正解
偽膜性大腸炎は抗菌薬使用後の下痢・発熱が特徴で、食後直後に一連の症状が出る本問の経過とは異なる。
- 4
ダンピング症候群正解
食後まもなくのめまい・顔面紅潮・動悸・下痢・冷汗は早期ダンピング症候群の典型症状である。
📚 混同しやすいので注意
ダンピング症候群は、早期と後期を入れ替えて問われる。食後どれくらいで起こるかと症状を対にして覚えよう。 予防はいずれも少量頻回・よく噛んでゆっくり食べること、高糖質で高浸透圧の食品を避けることが基本である。
| 項目 | 早期ダンピング症候群 | 後期ダンピング症候群 |
|---|---|---|
| 出現時期 | 食後30分以内 | 食後2〜3時間 |
| 機序 | 高浸透圧の食物が急速に小腸へ流入し、腸管内へ水分が移動。消化管ホルモンの分泌亢進 | 急激な糖の吸収でインスリンが過剰に分泌され、反応性低血糖をきたす |
| 症状 | めまい・動悸・発汗・顔面紅潮・腹痛・下痢・全身倦怠感 | 冷汗・脱力・手指振戦・空腹感・意識レベル低下 |
| その場の対応 | 横になって安静にする | 糖分(飴・ジュースなど)を摂取する |
参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.1 消化器』/日本外科学会 消化器外科テキスト
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について