第107回 看護師国家試験 午前 問50 解説

一般在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(70歳、女性)。夫(72歳)と2人暮らし。慢性腎不全のため腹膜透析を行うことになった。認知機能や身体機能の障害はない。腹膜透析について説明を受けた後、Aさんは「私のように高齢でも自分で腹膜透析をできるのか心配です。毎日続けられるでしょうか」と話した。Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 腹膜透析の継続に不安を抱く高齢者には、同年代で実施している人の体験を聞く機会をつくる対応が最も適切である。

Aさんは認知機能・身体機能に障害はなく、自己管理を続けられるかという不安を訴えている。 同年代で腹膜透析を実践している人の体験を聞くこと(ピアサポート・ロールモデルの提示)は、自分にもできるという自己効力感を高め、具体的な工夫や見通しを得られるため最も適切である。

他の選択肢は、不安に応えていないか、本人の自立を妨げる。「誰でも簡単にできます」は根拠のない安請け合いである。家族に操作を任せるのは、本人が行うという前提に反する。訪問看護師に毎日見守ってもらう形は、過度な依存を招き、自己管理の力を育てることにならない。

自己効力感とは

「自分にもできそうだ」と思える見通しのこと。この感覚が高いほど、療養行動を始めて続けやすくなる。

  • 1

    「誰でも簡単にできます」不正解

    「誰でも簡単にできます」は不安に向き合わない根拠のない安請け合いで、適切な対応ではない。

  • 2

    「ご家族に操作をしてもらいましょう」不正解

    家族に操作を任せると本人の自立を損ない、本人が実施するという前提にも反する。

  • 3

    「訪問看護師に毎日見守ってもらいましょう」不正解

    訪問看護師が毎日見守るのは過度な依存を促し、本人の自己管理能力を育てる自立支援につながらない。

  • 4

    「同年代で腹膜透析をしている人の体験を聞いてみましょう」正解

    同年代で腹膜透析をしている人の体験を聞くことは自己効力感を高め、具体的な見通しを得られ最も適切である。

📚 国試でよく狙われるところ

腹膜透析は、合併症の見つけ方と、導入時の不安への支援の2方向から問われる。「何を観察するか」と「誰が行うか」を分けて覚えよう。 最も注意すべき合併症は腹膜炎で、排液の混濁が最初のサインとなる。腹痛や発熱を伴うこともあり、清潔なバッグ交換手技の指導と定期的な確認が重要である。

  • 導入時の不安には、同じ治療を受けている人の体験を聞く(ピアサポート)ことが自己効力感を高める有効な手段となる。
  • 高齢であっても認知機能・身体機能が保たれていれば自己管理は可能で、できない前提で代行しないことが自立支援の原則である。
腹膜透析と血液透析の比較
項目腹膜透析血液透析
実施場所自宅や職場(自己管理)透析施設
頻度1日3〜4回のバッグ交換(機械による夜間透析もある)週3回、1回4時間程度
通院月1〜2回週3回
循環動態緩やかで負担が少ない除水により変動しやすい
残存腎機能比較的保たれやすい低下しやすい
食事水分・カリウム制限は比較的緩やか。蛋白の喪失に注意水分・塩分・カリウム・リンの制限が厳しい
主な合併症腹膜炎、カテーテル感染、被嚢性腹膜硬化症シャントトラブル、不均衡症候群、血圧低下

参考: 系統看護学講座 成人看護学 腎・泌尿器/慢性期看護

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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