第107回 看護師国家試験 午前 問49 解説
📝 問題
Aさん(66歳、男性)は、Lewy(レビー)小体型認知症であるが、日常生活動作(ADL)は自立している。介護老人保健施設の短期入所(ショートステイ)を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ レビー小体型認知症の幻視への対応として、誤認を誘発しやすい細かい模様のある物を片付けるのが適切である。
レビー小体型認知症は具体的で鮮明な幻視を特徴とし、照明が暗い環境や、細かい模様・影・柄などのあいまいな視覚刺激を、実際にはないものと誤認(錯視・パレイドリア)しやすい。 「ご飯のゴマを虫と見た」のはこの錯視であり、誤認を誘発する細かい模様のある物を片付けることが最も適切である。
他の選択肢は、誤認を減らす対応になっていない。「虫はいない」と否定すると不安を強めやすい。照明は、つけたままにするより影ができにくい明るさに整えるのが要点である。カーテンを開けたままにすると、夜間に窓外の影や映り込みで誤認を招きやすい。
パレイドリアとは
壁のしみや天井の模様が人の顔や虫に見えるように、実在するものを別のものと見誤ること。レビー小体型認知症で起こりやすい。
- 1
虫はいないと説明する。不正解
「虫はいない」と否定すると本人の体験を受け止めず不安を強めやすいため、適切な対応とはいえない。
- 2
部屋の照明をつけたままにする。不正解
照明をつけたままにするより適切な明るさの確保が要点で、本問では誤認源の除去がより直接的な対応である。
- 3
細かい模様のある物は片付ける。正解
細かい模様は錯視(パレイドリア)を誘発しやすく、それを片付けることは幻視・誤認への環境調整として適切である。
- 4
窓のカーテンは開けたままにする。不正解
カーテンを開けたままにすると夜間に窓外の影や映り込みで誤認を招きうるため、適切とはいえない。
📚 国試でよく狙われるところ
レビー小体型認知症は、幻視への対応・薬への反応・症状の分類の3方向から問われる。症状の名前と「そのとき何に注意するか」を対にして覚えよう。 幻視には否定も肯定もせず本人の不安に寄り添い、照明を調整して紛らわしい模様や影をつくらない。
- 抗精神病薬への過敏性があり、少量でもパーキンソン症状や過鎮静が強く出るため慎重に用いる。
- レム睡眠行動障害(夢の内容に反応して大声を出す・暴れる)は発症前から先行することがある。
- 認知症の症状は中核症状(記憶障害・見当識障害・実行機能障害)とBPSD(行動・心理症状)(幻覚・妄想・徘徊・不穏)に分けられる。
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| アルツハイマー型 | 最も多い。記憶障害から緩徐に進行。海馬の萎縮、取り繕い反応 |
| 血管性 | 脳血管障害に伴い階段状に悪化。まだら認知症、片麻痺、感情失禁 |
| レビー小体型 | 4大特徴=具体的な幻視、認知機能の変動、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害 |
| 前頭側頭型 | 人格変化、脱抑制、常同行動。記憶は比較的保たれる |
参考: 系統看護学講座 老年看護学/精神看護学
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について