第107回 看護師国家試験 午前 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115、116の問いに答えよ。Aさん(82歳、男性)。妻との2人暮らし。老人性皮膚搔痒症で抗ヒスタミン内服薬が処方されている。Aさんは「食べにくくてあまり食事が摂れていない。階段の昇り降りをしたり、10分以上歩いたりすると疲れてしまい、あまり外に出なくなった」と言う。体重は1か月間で2kg減少していた。他に自覚症状はなく、血液検査の結果は、血清蛋白の低下の他に異常はなかった。 このときのAさんに出現している現象として最も考えられるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 食事摂取の低下と活動量の減少による体重減少・易疲労から、筋肉量の減少(サルコペニア)が最も考えられる。
Aさんは食事が十分に摂れず1か月で体重が2kg減少し、階段の昇り降りや10分以上の歩行で疲れて外出が減っている。 血液検査は血清蛋白の低下以外に異常がない。 高齢者では、低栄養と活動量の低下が重なると筋蛋白の合成が減って分解が進み、筋肉量が減少する(サルコペニア)。 そこから易疲労・活動性の低下・体重減少という悪循環が生まれる。 本例の現象として最も考えられるのは筋肉量の減少である。
フレイルとサルコペニアは高齢者看護の要で、「低栄養→筋肉量減少→活動低下→さらなる低栄養」というフレイルサイクルでとらえる。 脱水であれば他の所見や検査値の異常を伴うはずである。胃酸の分泌増加も関節可動域の制限も、体重減少と易疲労を説明しない。
サルコペニアとは
加齢や低栄養で筋肉量が減り、握力や歩く速さまで落ちた状態。
- 1
脱水不正解
脱水を示す他の所見や検査異常がなく、体重減少と易疲労を脱水で説明するのは適切でない。
- 2
筋肉量の減少正解
低栄養と活動量低下による筋肉量の減少(サルコペニア)が、体重減少と易疲労を最もよく説明する。
- 3
胃酸の分泌増加不正解
本例の体重減少と易疲労を説明するのは低栄養による筋肉量の減少であり、胃酸の分泌増加ではない。
- 4
関節可動域(ROM)の制限不正解
関節可動域の制限を示す所見はなく、体重減少や易疲労の主因とは考えにくい。
📚 国試でよく狙われるところ
フレイルとサルコペニアは、定義と判定基準を入れ替えて問われる。項目の数と、対策・可逆性まで一組で覚えよう。
- フレイルの代表的な評価(Friedの基準)は体重減少・疲労感・歩行速度低下・握力低下・身体活動量低下の5項目で、3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイルと判定する
- サルコペニアは筋肉量の減少に加え、筋力低下(握力)または身体機能低下(歩行速度)がある状態と定義される
- 体重減少の目安は6か月で2〜3kg(または体重の5%)以上
- 対策は十分なたんぱく質摂取とレジスタンス運動の組合せで、どちらか一方では効果が得られにくい
- フレイルは適切な介入で可逆的である点が、要介護状態との大きな違いである
参考: 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン」/医療情報科学研究所編『老年看護学』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について