第107回 看護師国家試験 午前 問111 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。2型糖尿病でインスリン自己注射を行っている。6か月後の外来受診時に、同席していた長女が「甘い物ばかり食べる母を叱ってしまいます」と外来看護師に話した。Aさんは黙って話を聞いていた。前回の受診から低血糖症状はなく、体重は3kg増加した。Aさんは日中テレビを観て過ごしていることが多い。 外来看護師が別室で長女に提案する内容で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 叱ってしまう長女には、甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみるよう提案するのが最も適切である。
長女は甘い物を食べる母を叱ってしまうと悩み、Aさんは黙って聞いている。 低血糖症状はなく体重は増加し、日中の活動量も少ない。 この状況では、行動を頭ごなしに止めたり管理したりするより、なぜ甘い物を食べるのかを長女が聴きとることが出発点になる。 本人の主体性を尊重した行動変容も、良好な関係づくりもそこから始まる。
生活習慣の行動変容支援では、本人の思いを理解し、自己決定を支える関わりが重視される。 糖尿病食の作り方を覚えることも、甘い物を目に入らない場所へ移すことも、本人の気持ちを聞かないままでは管理を強めるだけの一方通行になる。厳しい言い方を控えるだけでは、代わりにどう関わるかが残らない。
- 1
「糖尿病食の作り方を覚えましょう」不正解
糖尿病食の作り方習得は有用だが、本人の気持ちを理解せず管理を強めるだけでは行動変容につながりにくい。
- 2
「厳しいことを言わないようにしましょう」不正解
厳しいことを言わないよう促すだけでは、Aさん本人の思いへの理解や代替の関わりが示されず不十分である。
- 3
「甘い物をAさんから見えない場所に置きましょう」不正解
甘い物を見えない場所に置く環境調整は一面的で、本人の意思を尊重した支援にはなっていない。
- 4
「甘い物を食べてしまうAさんの気持ちを聞いてみましょう」正解
甘い物を食べるAさんの気持ちを聞くことは本人の主体性を尊重し、行動変容と関係づくりの基盤となり最も適切である。
📚 これとセットで理解しよう
行動変容の支援は、患者がどの段階にいるかで関わり方が変わる。段階と支援の中身を対にして覚えよう。 指示や叱責よりも本人の自己効力感を高めることが有効で、家族には管理者ではなく協力者として関わってもらう。
| ステージ | 状態 | 支援の方向 |
|---|---|---|
| ①前熟考期 | 6か月以内に行動を変える意思がない | 気づきを促す情報提供、本人の思いを聴く |
| ②熟考期 | 6か月以内に行動を変える意思がある | 変えることの利点と負担を一緒に整理する |
| ③準備期 | 1か月以内に行動を変える意思がある | 具体的な目標と計画づくりを支援する |
| ④実行期 | 行動を変えて6か月未満 | 努力を承認し、逆戻りへの対処を一緒に考える |
| ⑤維持期 | 行動を変えて6か月以上 | 自己効力感を保ち、再発を予防する |
参考: 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」/医療情報科学研究所編『成人看護学 慢性期』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について