第107回 看護師国家試験 午前 問109 解説
📝 問題
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。Aさん(76歳、女性)は、長女(46歳、会社員)との2人暮らし。Aさんは5年前に2型糖尿病と診断された。1年前から血糖測定とインスリン自己注射を朝1回行っている。炊事は主にAさんが担当している。Aさんは、長女の帰宅に合わせて夕食を摂るため、夕食時間にばらつきがある。定期の外来受診時にAさんは「時々汗が出て手が震えることがあります」と外来看護師に相談した。Aさんのバイタルサインは、体温36.4℃、脈拍74/分、血圧128/80mmHg。身長154cm、体重68kgである。 このとき、外来看護師がAさんに行う指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 食事時間のばらつきによる低血糖が疑われるため、決まった食事時間を設定する指導が適切である。
Aさんはインスリン自己注射中で、「時々汗が出て手が震える」という交感神経症状は低血糖を疑わせる。 長女の帰宅に合わせて夕食の時間がばらつくと、インスリンの効き方と食事のタイミングがずれて低血糖を起こしやすい。 決まった食事時間を設定してインスリンの作用と食事を合わせることが、低血糖予防の指導として適切である。
インスリン療法中の血糖管理は、インスリン作用のピークと食事のタイミングを合わせることが基本になる。 糖質を含まない水分では低血糖そのものを戻せない。労作後に食事量を増やしても、食事時間のばらつきは残る。空腹感に任せる摂り方も規則性を欠く。
- 1
糖質を含まない水分を摂取する。不正解
糖質を含まない水分摂取は低血糖の補正にならず、症状の原因である食事時間の不規則さを解決しない。
- 2
労作後は食事摂取量を増やす。不正解
労作後に食事量を増やすだけでは、食事時間のばらつきによる低血糖の根本対策にはならない。
- 3
決まった食事時間を設定する。正解
食事時間を規則化してインスリン作用と食事を同調させることが低血糖予防に直結し、適切である。
- 4
空腹感に応じて食事を摂る。不正解
空腹感に応じた摂取は規則性を欠き、インスリン作用とのずれから血糖変動を助長する。
📚 国試でよく狙われるところ
低血糖は、血糖値と症状の対応、そして意識の有無で分かれる対処が問われる。数値・症状・対処を1組にして覚えよう。
- 血糖70mg/dL前後から発汗・動悸・手指振戦・不安などの交感神経症状が現れ、50mg/dL前後より低下すると頭痛・眠気・異常行動・けいれん・昏睡といった中枢神経症状が出る
- 意識があればブドウ糖10g(またはブドウ糖を含むジュース150〜200mL)を摂取し、15分後に血糖を再測定する
- α-グルコシダーゼ阻害薬の服用中は砂糖では吸収が遅れるため、必ずブドウ糖を用いる
- 意識がなければ経口摂取させず、ブドウ糖の静脈内注射やグルカゴンの投与を行う
- 高齢者、自律神経障害のある人、低血糖を繰り返す人は無自覚性低血糖となり、前駆症状なしに意識障害へ至ることがある
参考: 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」/医療情報科学研究所編『病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌』
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について