第106回 看護師国家試験 午後 問120 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み119、120の問いに答えよ。Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160cm、体重55kg。血圧142/80mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb12.5g/dL、クレアチニン2.5mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 Aさんはプレドニゾロン60mg/日のステロイド治療が開始となった。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 副腎皮質ステロイドの副作用で気分が大きく変わることがあると、あらかじめ伝えるのが適切である。

プレドニゾロン60mg/日は、体重55kgのAさんでは体重1kgあたり約1mgにあたる大量の副腎皮質ステロイドである。 量が多いほど副作用も出やすく、その1つが気分の変動である。

高揚したり落ち込んだり、眠れなくなったりする変化は、飲み始めて数日から数週で現れることがある。 前もって「薬のせいで起こりうる」と知らせておくと、Aさんも家族も変化に気づいて相談できる。

残る4つは、この時期の説明として合わない。ステロイド治療中は塩分とエネルギーを控える必要があり、倦怠感があっても自己判断で減らせば病気が再燃する。日光は病気を悪化させるので散歩は遮光してから、抗核抗体は治療がうまくいっても陰性にはならない。

  • 1

    「食事の制限はありません」不正解

    ステロイドは食欲を増やし、体に塩分と水をためて血圧を上げる。塩分とエネルギーを控え、骨を守るためにカルシウムを意識してとる。

  • 2

    「倦怠感が強いときは薬の中止を検討します」不正解

    ステロイドは急に減らすと病気が再燃し、体が自分でホルモンを作れずに危険な状態になる。自分の判断で減らしたり止めたりしないことを必ず伝える。

  • 3

    「薬の影響で気分が大きく変動するかもしれません」正解

    大量のステロイドでは高揚・抑うつ・不眠といった精神症状が起こりうる。前もって知らせておくと、変化に早く気づける。

  • 4

    「職場復帰に備えて天気の良い日は散歩しましょう」不正解

    日光(紫外線)は全身性エリテマトーデスを悪化させる。外出するときは日焼け止めと長袖・帽子で遮光する。

  • 5

    「治療で病状が改善すると抗核抗体が陰性になります」不正解

    抗核抗体は病気があるかどうかを調べる検査で、治療がうまくいっても陽性のまま残ることが多い。病気の勢いをみるには補体の値や抗DNA抗体を使う。

📚 混同しやすいので注意

副腎皮質ステロイドは、副作用の名前と対策を入れ替えて問われる。「感染・骨・血糖」の3つを軸に、対策までセットで覚えよう。

  • 易感染=細菌やウイルスに弱くなる。手洗い・うがいを続け、発熱したらすぐ受診する
  • 骨粗鬆症=骨がもろくなる。カルシウムとビタミンDをとり、骨を守る薬を併せて使う
  • ステロイド糖尿病=血糖が上がる。定期的に血糖を確かめ、食事の量を調整する
  • 満月様顔貌・中心性肥満・にきび・多毛などの見た目の変化は、量が減るとともに戻っていく

参考: 難病情報センター「全身性エリテマトーデス」/プレドニゾロン錠の添付文書

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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