第106回 看護師国家試験 午後 問119 解説
📝 問題
次の文を読み119、120の問いに答えよ。Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160cm、体重55kg。血圧142/80mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb12.5g/dL、クレアチニン2.5mg/dL、抗核抗体は陽性であった。 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ クレアチニンの著しい上昇から、腎機能が低下していると判断する。
全身性エリテマトーデス〈SLE〉は、自分の体を攻撃する抗体ができて全身の臓器を傷つける病気で、腎臓の障害が経過を大きく左右する。 抗核抗体が陽性なのは診断を裏づける所見で、どの臓器がどれだけ傷んでいるかは個々の検査値から読み取る。 Aさんのクレアチニンは2.5mg/dLで、成人女性の基準(およそ0.4〜0.8mg/dL)を大きく超えている。血圧142/80mmHgと高めなのも、腎臓の障害と結びつく所見である。
残る3つの検査値は、いずれも基準の範囲にある。ヘモグロビン12.5g/dLは成人女性の貧血の目安である12g/dLを下回らず、血小板17.5万/μLは出血傾向が問題になる値から離れ、白血球4,400/μLもSLEでみられる4,000/μL未満の減少にはあたらない。
抗核抗体とは
細胞の核の成分に対してできる自己抗体。全身性エリテマトーデスではほぼ全員が陽性になるが、ほかの膠原病や健康な人でも陽性になることがある。
- 1
貧血不正解
ヘモグロビン12.5g/dLは成人女性の基準の中にあり、貧血にはあたらない。SLEでは自己抗体による溶血性貧血が起こることがあり、経過中は繰り返し確認する。
- 2
出血傾向不正解
血小板17.5万/μLは基準の範囲で、出血しやすい状態ではない。SLEでは血小板の減少がみられることがある。
- 3
易感染状態不正解
白血球4,400/μLは減少しておらず、この時点で感染しやすい状態とはいえない。ステロイド治療が始まると易感染状態になる。
- 4
腎機能低下正解
クレアチニン2.5mg/dLは基準を大きく超えており、SLEで起こりやすいループス腎炎による腎機能の低下を示す。
📚 国試でよく狙われるところ
全身性エリテマトーデスは、症状の名前と悪化のきっかけが問われる。「顔の紅斑・光線過敏・関節痛・腎炎」を1組にして覚えよう。
- 若い女性に多く、蝶形紅斑(両頬から鼻にかけての赤み)・円板状皮疹・光線過敏・口内炎が皮膚と粘膜の症状
- 臓器の障害ではループス腎炎が最も重要で、蛋白尿・血尿・むくみ・血圧上昇として現れる
- 悪化のきっかけは日光(紫外線)・感染・妊娠・出産・手術・薬。日焼け止めと長袖で遮光する
参考: 難病情報センター「全身性エリテマトーデス」/系統看護学講座 成人看護学 アレルギー・膠原病
出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について