第106回 看護師国家試験 午前 問94 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(25歳、男性)は、オートバイの単独事故による交通外傷で救急病院に入院した。外傷部位は左上下肢で、左脛骨骨折に対しては長下肢ギプス固定をした。左前腕部は不全切断で、再接着術が行われた。入院後3日、左足趾のしびれと足背の疼痛を訴えた。 看護師の観察で適切なのはどれか。2つ選べ。

✅ 正解

2・3

💡 解説

✅ ギプス固定による循環と神経の障害を疑い、足背の皮膚色と足趾の自動運動を確かめる。

長下肢ギプスを巻いた3日後に、足趾のしびれと足背の痛みが出ている。ギプスの中で腫れが進み、筋肉を包む区画の内圧が上がって血流と神経が締めつけられるコンパートメント症候群を疑う場面である。 観察の基本は5P(疼痛・蒼白・脈拍消失・感覚異常・運動麻痺)で、いずれもギプスより末梢、つまり露出している足趾と足背で確かめる。

足背の皮膚の色は血流を、足趾を自分で曲げ伸ばしできるかは神経と筋の働きを映す。ギプスを外さずに繰り返し見られるので、悪化に早く気づける。

他の選択肢は場所と方法が合わない。膝窩動脈はギプスに覆われていて触れられず、末梢の血流の低下はつかめない。 Volkmann(フォルクマン)拘縮は血流障害が起きたあとに残る変形で、いま探す所見ではない。 ギプスを切るかどうかは医師が判断する処置であり、看護師が観察のために行うことではない。

Volkmann(フォルクマン)拘縮とは

前腕の血流が長く途絶えたあとに、筋肉が硬く縮んで指が曲がったまま伸びなくなる状態。小児の上腕骨顆上骨折のあとに問題になる。

  • 1

    膝窩動脈を触知する。不正解

    膝窩動脈は膝の裏にあり、膝関節まで含めて固定する長下肢ギプスに覆われているため触れられない。末梢の血流をみるなら、ギプスから出ている足背動脈や後脛骨動脈に触れる。

  • 2

    足背の皮膚色を観察する。正解

    皮膚の色は血流を映す。蒼白や紫色への変化は、ギプスの中で血流が滞っているしるしになる。

  • 3

    足趾の屈伸運動が可能か確認する。正解

    自分で足趾を曲げ伸ばしできるかは、神経と筋が働いているかを示す。動かせなくなるのは進行したサインである。

  • 4

    Volkmann〈フォルクマン〉拘縮の有無を確認する。不正解

    Volkmann(フォルクマン)拘縮は、前腕の血流障害が回復せずに残った手指の変形をいう。障害が起きたあとの結果であり、この時点で確かめる所見ではない。

  • 5

    ギプスを数cmカットして浮腫の有無を確認する。不正解

    ギプスを切開して圧を逃がすのは医師の指示で行う処置である。看護師は末梢の状態を観察し、異常があればすぐ報告する。

📚 国試でよく狙われるところ

ギプス固定の合併症は、どの所見に気づいたら報告するかが問われる。5Pを唱えられるようにして、末梢の観察とセットで覚えよう。

  • 痛みが強まる、鎮痛薬が効かない、足趾を動かすと痛むのは、コンパートメント症候群の早い時期のサイン。
  • 脈が触れなくなるのはかなり進んでからなので、脈があるうちに気づくことが大切。
  • ギプス固定中は患肢を心臓より高く保って腫れを抑える。かゆいときは物を差し込まず、冷やすか風を当てて対応する。

参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 運動器・整形外科』/整形外科看護の標準テキスト(ギプス固定と合併症)

出典:「第106回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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