第105回 看護師国家試験 午後 問119 解説

状況設定看護の統合と実践✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aちゃん(4歳、男児)は、昨夜の土砂災害によって両親とともに小学校の体育館に避難している。母親は自分の両親の安否が不明なため眠ることができなかった。また、落ち着きがなく感情的になっている。父親はずっと毛布をかぶって横になっている。 Aちゃんの母親は自分の両親と連絡がとれた。避難所生活5日目、親子3人で過ごすことが多くなってきた。Aちゃんの活気がなくなってきている。 地域の病院から派遣された看護師の対応で最も適切なのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ Aちゃんが同年代の子どもと遊べる機会をつくるのが最も適切である。

避難所生活5日目。母親の心配は解けたが、Aちゃんの活気がなくなってきている。4歳の子どもにとって遊びは気持ちを表す手段であり、いつもと同じことができる時間そのものである。 同年代の子どもと遊べる場をつくると、体を動かして気持ちが発散され、避難所でも日常のリズムが戻る。 災害の直後の心のケア(サイコロジカル・ファーストエイド)では、体験を無理に語らせないことが原則である。

残る3つは、この原則から外れるか、いまの状態に届かない。両親の関わりを見守るだけでは、活気の低下に手が届かない。 災害時のことを一緒に話すのは、本人が話し出すのを待つべきところを大人から促すことになる。 絵に描くよう勧めるのも同じで、つらい体験を思い出させる働きかけになる。

サイコロジカル・ファーストエイドとは

災害や事故の直後に、専門家でなくても行える心の支援。安全と休息を確保し、必要な情報や支援につなぐ。無理に体験を語らせないのが原則。

  • 1

    両親のAちゃんへの関わりを見守る。不正解

    両親を支えることは大切だが、見守るだけではAちゃんの活気の低下に手が届かない。子ども自身に向けた関わりが要る。

  • 2

    Aちゃんと災害時のことを一緒に話す。不正解

    体験を語るかどうかは本人のペースに任せる。大人から促すと、つらい記憶を思い出させることになる。

  • 3

    Aちゃんが他の子どもと遊べる機会をつくる。正解

    遊びは子どもが気持ちを表す手段であり、日常を取り戻す時間でもある。同年代の子どもと過ごせる場が回復を助ける。

  • 4

    災害時の様子を絵に描くようAちゃんに勧める。不正解

    絵も表現の手段だが、大人から勧めれば災害の場面を思い出させることになる。子どもが自分から描き始めたときに受け止める。

📚 ここも一緒におさえておこう

災害後の子どもの心のケアは、「何をするか」より「何をしないか」で問われる。無理に語らせないという原則から考えよう。

  • 食べる・眠る・遊ぶという日常の流れを戻すことが、子どもの安心につながる
  • 被災した直後に体験を語らせる心理的デブリーフィングは、かえって症状を強めることがあり勧められない
  • 子どもを支えるには、まず保護者が休める環境を整える。親の落ち着きが子どもの安心になる

参考: 系統看護学講座 災害看護/災害時のこころのケア(サイコロジカル・ファーストエイド)

出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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