第105回 看護師国家試験 午後 問118 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aちゃん(4歳、男児)は、昨夜の土砂災害によって両親とともに小学校の体育館に避難している。母親は自分の両親の安否が不明なため眠ることができなかった。また、落ち着きがなく感情的になっている。父親はずっと毛布をかぶって横になっている。 昼間のAちゃんは体育館の中を走り回っている。また、指しゃぶりをしながら両親の姿を気にしているが、近づいて甘えようとはしない。 Aちゃんの反応で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 災害の直後に現れた落ち着きのなさと退行であり、急性ストレス障害にあたる。
Aちゃんは4歳。昨夜の土砂災害で避難し、体育館を走り回り、指しゃぶりをしながら両親の姿を気にしている。走り回るのは落ち着かなさの表れで、指しゃぶりは幼い頃の行動に戻る退行である。 両親も余裕を失っているため、甘えたい気持ちがあっても近づけずにいる。 こうした反応は、災害という強い出来事の直後に現れる急性ストレス障害にあたる。
残る3つは、時期や成り立ちが合わない。自我同一性の拡散は、自分が何者か分からなくなる青年期の状態である。 外傷後ストレス障害〈PTSD〉は、同じような症状が1か月を超えて続いたときの診断である。 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉は幼児期から続く発達の特性で、災害を境に現れるものではない。
退行とは
不安が強いときに、一度できるようになったことができなくなり、幼い頃の行動に戻ること。指しゃぶりやおねしょ、後追いなどがみられる。
- 1
自我同一性の拡散不正解
自我同一性の拡散は、自分が何者なのか分からなくなり、進路や役割を決められなくなる青年期の状態。4歳のAちゃんの発達段階には当てはまらない。
- 2
急性ストレス障害正解
災害という強い出来事の直後に現れた、落ち着きのなさと退行である。時間の経過と周囲の支えで和らぐことが多い。
- 3
外傷後ストレス障害〈PTSD〉不正解
外傷後ストレス障害〈PTSD〉(現在は心的外傷後ストレス障害という)は、再体験や回避などの症状が1か月を超えて続いたときの診断である。
- 4
注意欠陥多動性障害〈ADHD〉不正解
注意欠陥多動性障害〈ADHD〉(現在は注意欠如・多動症という)は幼児期から続く発達の特性で、不注意や多動が災害の前からみられる。Aちゃんの反応は災害を境に現れている。
📚 混同しやすいので注意
災害後のストレス反応は、いつから・どのくらい続いたかで名前が変わる。時間の物差しで見分けよう。
- 災害の直後から現れ、3日以上1か月以内続く強い不安・興奮・眠れなさ・回避が急性ストレス障害
- 同じような症状が1か月を超えて続くと心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉と呼ぶ
- 学童では腹痛や頭痛などの体の訴え、思春期ではいらだちや引きこもりとして表れやすい
参考: 系統看護学講座 精神看護学/災害時のこころのケア(サイコロジカル・ファーストエイド)
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について