第105回 看護師国家試験 午後 問115 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。 Aさんへの訪問看護における身体状態の観察で、疾患に関連して最も重要なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 膀胱直腸障害があるため、排尿状態の観察が疾患に関連して最も重要である。
Aさんは頸椎の後縦靱帯骨化症で椎弓形成術を受け、いまも膀胱直腸障害が残っている。頸髄が圧迫されると膀胱を動かす神経の働きが乱れ、尿がたまっても出しきれない、尿意を感じにくいという状態になる。 残尿が続くと尿路感染症を起こし、進むと腎臓へ尿が逆流して腎機能の低下につながる。本人が尿意を感じにくいぶん、排尿の回数・量・残尿感・尿の性状を看護師が確かめる必要がある。
残る4つも観察はするが、疾患から直接起こる合併症ではない。上肢の筋力は食事や車椅子の操作に関わるものの、放置して臓器の障害に至るものではない。 嚥下の状態は、頸椎を前方から操作する手術のあとに問題になることがあり、Aさんが受けた椎弓形成術は後方からの手術で、むせの訴えもない。 外傷は知覚鈍麻があるため気づきにくいが、環境を整えることで防げる。 下肢のしびれはすでに把握されている症状で、変化はみるものの、それ自体が新しい障害を招くわけではない。
後縦靱帯骨化症とは
背骨の後ろ側を縦に走る靱帯が、骨のように硬く厚くなる病気。すぐ後ろにある脊髄を押すため、手足のしびれや動かしにくさが出る。
膀胱直腸障害とは
膀胱と直腸を動かす神経がうまく働かなくなり、尿や便を出しにくくなったり、もれたりする状態。脊髄が障害されたときに起こる。
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排尿状態正解
膀胱直腸障害があり、尿がたまっても出しきれない状態になりやすい。残尿は尿路感染症や腎機能の低下につながるため、排尿の回数・量・残尿感を確かめる。
- 2
上肢の筋力不正解
頸髄の障害では上肢の筋力も落ちるため観察はする。ただし食事や車椅子の操作への影響が中心で、放置して臓器の障害に至るものではない。
- 3
嚥下の状態不正解
嚥下障害は、頸椎を前方から操作する手術のあとに起こることがある。Aさんの椎弓形成術は後方からの手術で、むせの訴えもない。
- 4
外傷の有無不正解
知覚鈍麻があるため、ぶつけても熱くても気づきにくい。ただし環境を整えることで防げるもので、疾患そのものから生じる合併症ではない。
- 5
下肢のしびれ不正解
すでに把握されている症状で、変化は見ていく。しびれ自体が新しい障害を招くわけではない。
📚 国試でよく狙われるところ
脊髄が障害されると、動きだけでなく排泄と感覚にも影響が出る。障害された高さから下に何が起こるかで覚えよう。
- 頸髄の障害では四肢麻痺となり、胸髄より下の障害では下肢だけの麻痺(対麻痺)になる
- 尿をためたり出したりできなくなる状態を神経因性膀胱といい、残尿の確認と定期的な導尿で腎臓を守る
- 知覚が鈍い部位は熱さや圧迫に気づけないため、低温熱傷や褥瘡が起こりやすい
参考: 医療情報科学研究所編『病気がみえる 運動器・整形外科』/系統看護学講座 在宅看護論
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について