第105回 看護師国家試験 午後 問116 解説
📝 問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。 Aさんは1週前から排便がなく、センノシドを毎日就寝前に継続して内服している。訪問看護師が観察すると左腹部に便塊を触れ、腸蠕動音は微弱であった。Aさんは、2日間排便がないときはピコスルファートナトリウム水和物を適宜内服するよう医師に言われているが、以前に内服して下痢になったため内服していないと話す。 看護師のAさんへの提案で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ たまった便を出す必要があり、浣腸をしてよいか医師に確認するのが適切である。
1週間排便がなく、左腹部に便塊を触れ、腸蠕動音は微弱である。下行結腸からS状結腸に硬くなった便がたまっている状態で、飲み薬を足しても押し出せない。 まず直腸や結腸にたまった便を出す必要があるので、浣腸をしてよいかを医師に確認する。腸蠕動音が弱いときは腸閉塞の可能性もあるため、看護師の判断だけで実施しない。
残る3つでは、たまった便が動かない。様子をみている間に便はさらに硬くなり、腹痛や腸閉塞につながる。 刺激性下剤を2種類重ねても硬い便塊は出ず、以前に下痢をした経験のあるAさんは受け入れにくい。 便意を感じたらトイレに座るのは排便習慣として大切だが、Aさんは膀胱直腸障害で便意そのものを感じにくい。
刺激性下剤とは
大腸のかべを直接刺激して動きを強める下剤。センノシドやピコスルファートナトリウムがこれにあたる。効きめは強いが、毎日続けると腸が慣れて効きにくくなる。
- 1
「もう少し様子をみましょう」不正解
1週間排便がなく便塊も触れている。待つあいだに便はさらに硬くなり、腹痛や腸閉塞につながる。
- 2
「下剤は2種類とも飲みましょう」不正解
センノシドもピコスルファートナトリウムも大腸を刺激して動かす刺激性下剤で、重ねても硬くなった便塊は出ない。以前に下痢をしたAさんが受け入れにくい提案でもある。
- 3
「便意を感じたらトイレに座りましょう」不正解
便意を感じたときにトイレに座るのは排便習慣として大切である。ただしAさんは膀胱直腸障害があり、便意そのものを感じにくい。
- 4
「浣腸をしてもよいか医師に確認しましょう」正解
たまった便を出すには浣腸や摘便が要る。腸蠕動音が弱く腸閉塞の可能性もあるため、実施してよいかを医師に確認する。
📚 国試でよく狙われるところ
便秘への対応は、薬の種類と浣腸の手順を分けて問われる。薬は名前を見て働きを言えるように、浣腸は体位と温度をセットで覚えよう。
- 機械的下剤(酸化マグネシウムなど)は便に水を集めてやわらかくする。腎機能が低下している人では高マグネシウム血症に注意する
- 刺激性下剤(センノシド・ピコスルファートナトリウムなど)は大腸を刺激して動かし、頓用や短期間の使用が基本
- 浣腸は左側臥位で行い、グリセリン液を体温程度に温めてゆっくり注入する。立位で行うと直腸を傷つける危険がある
参考: 系統看護学講座 在宅看護論/医療情報科学研究所編『病気がみえる 消化器』
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について