第104回 看護師国家試験 午後 問70 解説
📝 問題
Aさん(70歳、男性)は、1人で暮らしている。慢性閉塞性肺疾患のため1週前から在宅酸素療法(0.5 L/分、24時間持続)が開始された。Aさんは階段の昇降時に息切れがみられる。 自宅での入浴の方法に関する訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 身体を洗うときはシャワーチェアを使い、座ったまま洗えるようにする。
在宅酸素療法を受けている慢性閉塞性肺疾患の人にとって、入浴は息切れが強く出やすい場面である。 立ったりしゃがんだり、腕を上げたりする動作が続くうえ、湯気の中では呼吸そのものも苦しくなる。
そこでシャワーチェアを使い、座ったまま体を洗えるようにして動作の負担を減らす。 洗う途中で休みを入れ、息を吐きながら動くとさらに楽になる。
残る3つは、必要のない制限を加えたり、Aさんができることを取り上げたりしている。
在宅酸素療法とは
自宅に置いた酸素濃縮装置や酸素ボンベから、決められた量の酸素を吸い続ける治療。慢性閉塞性肺疾患などで行う。
- 1
脱衣は看護師が全介助する。不正解
脱衣はAさんが自分でできる動作である。すべてを介助すると生活の自立が失われる。時間をかけてよいこと、途中で休んでよいことを伝える。
- 2
浴槽に入ることは禁止する。不正解
浴槽に入ること自体は禁止しない。湯はぬるめにして、肩まで浸からず心窩部(みぞおち)までにすると、胸にかかる水の圧が減って呼吸が楽になる。
- 3
身体を洗うときはシャワーチェアを使う。正解
座って洗うと、立つ姿勢を保つ力と腕を上げる動作が減り、息切れが起こりにくい。背もたれや手すりがあるとさらに安全である。
- 4
入浴中は携帯用酸素ボンベを利用できない。不正解
入浴中も酸素は続ける。鼻カニューレをつけたまま入浴でき、携帯用ボンベも使える。ただし酸素はものを燃えやすくするため、火気からは2m以上離す。
📚 これとセットで理解しよう
在宅酸素療法は、日常生活のどこに気をつけるかが問われる。「息切れを減らす動き方」と「酸素の量を自分で変えない」の2つをセットで覚えよう。
- 息を止めやすい排便・洗髪・かがむ動作はとくに苦しくなる。息を吐きながら動き、途中で休む
- 口すぼめ呼吸で息をゆっくり吐くと、気道がつぶれにくくなって息切れがやわらぐ
- 苦しいからと自分で流量を上げると二酸化炭素ナルコーシスを起こすことがある。流量は医師の指示どおりにする
参考: 日本呼吸器学会 酸素療法マニュアル/厚生労働省 在宅酸素療法における火気の取扱いに関する注意喚起
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について