第104回 看護師国家試験 午後 問42 解説
📝 問題
抗癌薬の点滴静脈内注射中の患者が刺入部の腫脹と軽い痛みを訴え、看護師が確認した。 直ちに行うのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 抗癌薬の点滴中に刺入部の腫脹と痛みが現れたら、直ちに注入を中止する。
点滴の刺入部が腫れて痛むのは、薬液が血管の外へ漏れる血管外漏出のサインである。 抗癌薬の多くは組織を強く傷つけるため、漏れた量が増えるほど水疱・潰瘍・壊死へ進む。
まず行うのは、これ以上漏らさないことである。注入の中止が最優先で、針はすぐに抜かず残したまま、注射器で漏れた薬液をできるだけ吸い出す。そのうえで医師に報告し、薬剤に応じた処置と、腫れ・痛み・皮膚の色の経過観察を続ける。
他の選択肢は、どれも漏れを広げるか、対応を遅らせる。温めるか冷やすかは薬剤ごとに決まり、逆流の確認も、まず注入を止めてから行う。速度を落とすだけでは薬液は漏れ続ける。
- 1
刺入部を温める。不正解
抗癌薬の血管外漏出では、温めてよいかどうかは薬剤によって異なる。自己判断で温めると組織の傷害を広げてしまう。
- 2
注入を中止する。正解
腫脹と痛みは血管外漏出のサインで、注入を止めることでそれ以上漏れないようにする。
- 3
注入速度を遅くする。不正解
速度を落としても薬液は漏れ続ける。漏れる量を止めることが先になる。
- 4
点滴チューブ内の血液の逆流を確認する。不正解
逆流の有無だけでは漏出を見分けられず、確かめている間も薬液は入り続ける。判断より先に注入を止める。
📚 国試でよく狙われるところ
点滴の刺入部のトラブルは、静脈炎と血管外漏出の見分けと、早く気づくための観察が問われる。腫れや痛みが「血管に沿うか、刺入部だけか」で見分けよう。
- 静脈炎=血管に沿って赤み・痛み・索状のしこりが出る。薬液の刺激やカテーテルによる機械的な刺激で起こる。
- 血管外漏出=刺入部が腫れ、滴下が悪くなり、逆血が確認できないことがある。抗癌薬では壊死に進む危険がある。
- どちらも早期発見が要で、抗癌薬の投与中はこまめに刺入部を観察し、患者にも違和感があればすぐ知らせるよう伝えておく。
参考: 系統看護学講座 基礎看護学(診療に伴う看護技術)/日本がん看護学会 血管外漏出への対応
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について