第104回 看護師国家試験 午後 問118 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。Aさん(37歳、女性)は、アジアの出身で1か月前に日本人の夫(40歳)と娘(12歳)とともに日本に移住した。母国語以外に簡単な言葉であれば日本語と英語は理解できる。Aさんは、胸のしこりに気付き1週前に受診し、検査の結果、乳癌と診断された。今後の治療について説明を受けるため外来を受診する予定である。夫から「仕事が忙しく説明に立ち会えない。妻は日本語が上手く話せないがどうしたらいいですか」と電話があった。 このときの夫への対応で最も適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 母国語の医療通訳者について情報提供するのが最も適切である。
治療の説明は、Aさん本人が内容を理解し、自分で治療を選ぶための場である。乳癌の治療は手術・薬・放射線と選べる方法が多く、「簡単な言葉であれば分かる」程度の日本語や英語では、副作用や見通しまで正確には伝わらない。
そこで、Aさんの母国語で医療の言葉を訳せる医療通訳者を紹介する。夫が立ち会えなくても、本人が理解して意思を示せる場をつくれる。
残る3つは、Aさんの理解と決定から遠ざかる。 電話で夫に説明すると、治療を受ける本人が説明の場から外れてしまう。 英語での説明は、Aさんの英語が簡単な言葉に限られており、内容を取り違える危険がある。 12歳の娘に通訳をさせるのは、訳が正確になりにくいうえ、母親の病気という重い内容を子どもに背負わせることになる。
- 1
電話で治療について説明をする。不正解
説明を受けて治療を選ぶのはAさん本人である。夫に電話で伝えると、本人が説明の場から外れてしまう。
- 2
英語での説明を医師に依頼すると伝える。不正解
Aさんの英語は簡単な言葉に限られている。込み入った治療の説明を英語で行うと、内容を取り違える危険がある。
- 3
母国語の医療通訳者について情報提供する。正解
母国語で医療の言葉を訳せる医療通訳者がいれば、Aさん本人が内容を理解して治療を選べる。夫が立ち会えない場面でも本人の意思を確かめられる。
- 4
日本語を話せる娘に通訳を依頼するよう伝える。不正解
12歳の子どもに医療の言葉を正確に訳すことは難しい。母親の病気という重い内容を伝える役割まで負わせることになる。
📚 国試でよく狙われるところ
外国人患者への対応は、誰が通訳するかで正誤が分かれる。「家族や子どもに通訳させない」を軸に覚えよう。
- 通訳は訓練を受けた医療通訳者に依頼する。医療の言葉を正確に訳し、守秘義務も負う
- 家族、とくに子どもには通訳をさせない。訳し間違いが起こりやすく、家族の関係にも影響する
- 通訳者がいない病院でも、電話や画面越しの遠隔通訳を利用できる体制が広がっている
参考: 厚生労働省 外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル/系統看護学講座 看護の統合と実践
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について