第104回 看護師国家試験 午前 問119 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。山間部の地域で、1時間雨量80mm以上の降雨で土石流が発生し、地域の住民は市民体育館に避難した。避難所には近くの医療機関から医師と看護師とが派遣された。土石流で家を失った被災者は市民体育館から仮設住宅へ移動した。仮設住宅には1人暮らしの世帯が多い。看護師が仮設住宅の巡回訪問を行うことになった。 災害の慢性期(復興期)の看護師の巡回訪問の主な目的として適切でないのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 救援物資を届けることは発災直後の支援であり、復興期の巡回訪問では健康の維持と孤立の予防が目的になる。
被災者が市民体育館から仮設住宅へ移った時期が、災害の慢性期(復興期)にあたる。 この時期の巡回訪問は、慣れない住まいで健康を保てるように支えることが目的になる。 1人暮らしの世帯が多いこの仮設住宅では、孤立、動かない生活から起こる生活不活発病、持病の悪化、感染症の広がりが課題になる。
救援物資を届けるのは、物流が止まる発災直後に必要な支援である。 生活が仮設住宅で落ち着いたこの時期には行政や支援団体が担う配布であって、巡回訪問の主な目的にはならない。
生活不活発病とは
動かない生活が続くことで、体も心もはたらきが落ちていく状態。避難生活や仮設住宅での暮らしで起こりやすい。
- 1
感染症を予防する。不正解
仮設住宅は世帯どうしが近く、感染症が広がりやすい。手洗いや換気、体調の確認は巡回訪問の目的にあたる。
- 2
救援物資を届ける。正解
救援物資の配布は、物が届かない発災直後の支援である。復興期は暮らしの再建が課題で、巡回訪問で担う役割ではない。
- 3
室内の安全性を確認する。不正解
段差や配線、暖房器具などを見て転倒や火災を防ぐことは、住まいが変わったこの時期の大切な目的である。
- 4
生活習慣病の重症化を予防する。不正解
避難生活では食事や運動、服薬が乱れ、血圧や血糖が悪くなりやすい。持病の悪化を防ぐことは巡回訪問の目的にあたる。
📚 ここも一緒におさえておこう
災害看護は、時期と役割の組合せを入れ替えて問われる。救命から生活の支援へ、役割が移っていく流れで覚えよう。
| 時期 | 主な役割 |
|---|---|
| ①超急性期(発災〜72時間ごろ) | 救命が中心。トリアージ、応急処置、安全な場所への誘導 |
| ②急性期(〜1週間ごろ) | 避難所の環境を整える。感染予防、水分と食事、深部静脈血栓症の予防 |
| ③亜急性期(〜1か月ごろ) | 持病の薬を確保し、慢性疾患を管理する。心のケアを始める |
| ④慢性期・復興期 | 暮らしの立て直しを支える。健康と安全を確かめ、住民どうしのつながりをつくる |
参考: 災害各期の看護活動と仮設住宅での支援(災害看護)
出典:「第104回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について