第103回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。Aさん(48歳、男性、会社員)は、8年前から高血圧症、脂質異常症および労作性狭心症に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。Aさんは身長165cm、体重80kgである。午前9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前11時ころに終了した。 経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後も点滴静脈内注射が継続され、抗血小板薬と抗菌薬の投与が行われた。その後、看護師はAさんの穿刺部位の出血がないことを確認した。 次に行う観察で最も注意すべき項目はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 経皮的冠動脈形成術の直後は、脳塞栓による麻痺症状の出現に最も注意して観察する。
カテーテルを進めるあいだ、血管の壁からはがれた血栓やプラークが血流に乗って脳の血管をふさぐことがある。今回は左手首から入れており、カテーテルは脳へ向かう血管が枝分かれする大動脈弓を通っている。 穿刺部の出血がないことを確かめた次に見るのは、この脳塞栓である。片側の手足の脱力やしびれ、ろれつが回らないといった変化を続けて観察する。
他の3つは、いま起こる変化ではない。 発熱と穿刺部の感染徴候が現れるとしても、早くて数日後になる。 皮膚の黄染は肝臓・胆道の障害や赤血球の破壊で起こる所見で、この経過では考えにくい。
プラークとは
動脈の壁の内側にたまったコレステロールなどのかたまり。はがれて流れると、先の細い血管をふさぐ。
- 1
発熱不正解
感染による発熱が出るとしても数日後である。術直後に見るのは出血と神経の症状。
- 2
麻痺症状正解
カテーテル操作で飛んだ血栓やプラークが脳の血管をふさぐと脳塞栓になる。片麻痺・しびれ・ろれつが回らないといった変化を早く見つける。
- 3
皮膚の黄染不正解
黄染は肝臓や胆道の障害、赤血球の破壊で現れる。今回の術後の経過とは結びつかない。
- 4
穿刺部位の感染徴候不正解
発赤・腫脹・熱感が出るのは早くても数日後である。いま穿刺部で見るのは出血と血腫。
📚 国試でよく狙われるところ
経皮的冠動脈形成術の合併症は、起こる時期を入れ替えて問われる。直後・翌日以降・数日後の3つに分けて覚えよう。
- 直後=穿刺部の出血や血腫、脳塞栓による麻痺、冠動脈の再閉塞による胸痛
- 翌日以降=造影剤腎症。尿量が減っていないかを見て、水分をとってもらう
- 数日後=穿刺部の感染や仮性動脈瘤
参考: 標準的な成人看護学(心臓カテーテル治療の合併症)
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について