第103回 看護師国家試験 午前 問96 解説

状況設定成人看護学✔ 監修済み

📝 問題

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(56歳、女性、主婦)は、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術予定で入院した。Aさんは身長152cm、体重70kgである。Aさんは、数年前に脂質異常症を指摘されたが、治療は受けていない。Aさんにその他の特記すべき既往歴はない。Aさんの術後の経過は良好で、退院の許可が出た。 退院後の日常生活に関する説明で正しいのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 胆囊を摘出したあとは、脂肪分の多い食事で下痢をすることがあると説明する。

胆囊は肝臓で作られた胆汁をためて5〜10倍に濃縮し、脂肪を含む食べ物が十二指腸に入ったときに一度に送り出す袋である。 摘出するとためる働きがなくなり、薄い胆汁が少しずつ流れ続ける状態になる。

脂肪の多い食事をとっても必要な量の胆汁を一度に出せず、脂肪の消化吸収が足りなくなる。吸収されなかった脂肪が大腸に届くと水分の吸収を妨げ、脂肪性下痢が起こる。 多くは数か月で落ち着く。脂質を断つ必要はなく、揚げ物や脂身の多い肉を減らし、1回の量を控えめにして回数を分けるとよい。

残る3つは、この手術のあとの生活には当てはまらない。

脂肪性下痢とは

脂肪が吸収されずに便へ出てしまう下痢。便が水っぽく、あぶらが浮いて見えることがある。

  • 1

    「低蛋白食を摂取してください」不正解

    胆汁が助けるのは脂肪の消化で、蛋白質とは直接関係しない。蛋白質は創の回復に必要なので、むしろしっかりとる。

  • 2

    「退院後1週間、シャワー浴はできません」不正解

    腹腔鏡下手術の創は小さく、閉じていればシャワー浴はできる。皮膚を清潔に保つほうが創の治りによい。

  • 3

    「脂肪分の多い食事で下痢をするかもしれません」正解

    胆汁をためて一度に出せなくなるため、脂肪の多い食事で消化が追いつかず下痢をすることがある。数か月で落ち着くことが多い。

  • 4

    「傷口が赤く腫れてきたら、消毒をしてください」不正解

    創が赤く腫れるのは感染を疑う所見なので、自分で消毒せずに受診してもらう。市販の消毒薬は創の治りを妨げることもある。

📚 国試でよく狙われるところ

胆汁は「消化酵素を含まない」というひっかけで毎回のように出るので覚えておこう。 酵素を含まない代わりに、脂肪を細かい粒に分けて消化酵素が働きやすくする役割をもつ。 胆囊を摘出しても胆汁そのものは作られ続けるため、脂肪の消化は時間をかけて回復する。

参考: 胆囊摘出術後の生活指導に関する標準的看護/消化器の解剖生理(胆汁のはたらき)

出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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