第103回 看護師国家試験 午前 問59 解説
📝 問題
高齢者が自身の終末期における生き方や死の迎え方の意向を表示する方法としてのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉について正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ アドバンスディレクティブは、口頭でも文書でも意思表示ができる。
アドバンスディレクティブ(事前指示)は、自分で判断できなくなったときに備えて、受けたい医療とそうでない医療をあらかじめ伝えておくことをいう。書面にしておくほうが確実に伝わるが、口頭でもよい。家族や医療者に話しておいた内容も事前指示にあたる。 中身は2つある。受けたい医療・受けたくない医療を示すリビングウィルと、自分の代わりに決める人を決めておく代理人の指定である。
他の選択肢は、効力と中身を取り違えている。日本には事前指示を定めた法律がなく、書いたとおりに従わせる強制力はない。代理人は指名できる。財産の管理者を決めるのは成年後見制度や遺言の役目。
- 1
法的な拘束力がある。不正解
日本では法律で定められた制度ではなく、法的な拘束力はない。それでも本人の意思を知る手がかりとして、医療やケアを決めるときに重く扱われる。
- 2
代理人を指名できない。不正解
逆。自分の代わりに決めてもらう人を指名できる。これが事前指示の柱の1つ。
- 3
口頭や文書で意思表示できる。正解
文書だけに限らず、口頭で伝えた希望も事前指示として扱われる。話してもらった内容は診療記録に残し、チームで共有する。
- 4
財産の管理者の指定ができる。不正解
財産の管理者を決めるのは、成年後見制度や遺言のはたらき。事前指示が扱うのは医療とケアの希望。
📚 ここも一緒におさえておこう
終末期の意思決定は、事前指示とアドバンス・ケア・プランニング(ACP〈エーシーピー〉)の違いを入れ替えて問われる。「1回伝えて終わり」か「くり返し話し合う」かで見分けよう。
- アドバンス・ケア・プランニングは、本人・家族・医療やケアの担当者がくり返し話し合い、その内容を共有していく過程。愛称は人生会議
- 気持ちは変わるものなので、いったん決めた内容はいつでも変えられる
- 話し合いは元気なうちから始めて、状態が変わるたびに繰り返す
参考: 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」/系統看護学講座 老年看護学
出典:「第103回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について