第115回 看護師国家試験 午後 問98 解説
📝 問題
次の文を読み97〜99の問いに答えよ。 Aさん(21歳、女性、大学生)は半年ほど前から疲れやすさを自覚していた。その後、安静時にも息切れと動悸が出現するようになり、1か月前から所属するテニスサークルを休んでいる。数日前からは手が震えるようになり、学業にも支障が出てきた。頻繁に汗が出ると自覚しており、母親から「首が腫れている」と指摘され受診した。受診時は、身長160cm、体重44kgで半年前から6kg減少している。体温37.5℃、呼吸数22/分、脈拍132/分、血圧152/70mmHgであった。 AさんはBasedow〈バセドウ〉病と診断され抗甲状腺薬での治療が開始された。Aさんには、疾患を正しく理解し、定期受診や内服の自己管理が行えるよう指導が行われた。Aさんは「薬が必要だと分かったけれど、副作用が怖い」と訴えている。 早めの受診が必要な副作用(有害事象)はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 抗甲状腺薬の服用中に発熱がみられたら、無顆粒球症を疑って早めに受診する。
抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)で最も警戒する副作用が無顆粒球症である。 好中球が著しく減って感染を防げなくなる状態で、発熱と咽頭痛で始まり急に重くなる。 頻度は0.1〜0.5%と高くはないが、服用開始から3か月以内に集中して起こり、対応が遅れると命に関わる。
服薬指導では「熱が出たら市販の解熱薬で様子をみる」のではなく、38℃以上の発熱や強いのどの痛みがあればすぐに服薬をやめて受診するよう、具体的な行動として伝える。
- 1
口渇不正解
口渇は抗甲状腺薬の代表的な副作用ではない。甲状腺中毒症による発汗増加や糖尿病の合併でも起こりうるが、緊急受診を要する副作用のサインではない。
- 2
脱毛不正解
脱毛は甲状腺機能の変動でも抗甲状腺薬でも起こりうるが、生命に関わるものではない。定期受診の際に相談すればよく、直ちに受診すべき症状ではない。
- 3
発熱正解
発熱、とくに咽頭痛を伴う発熱は無顆粒球症の初発症状であり、放置すると重い感染症に進む。早めの受診が必要なのはこの症状である。
- 4
皮膚の搔痒感不正解
軽度の皮疹・搔痒感は抗甲状腺薬で比較的多くみられ、抗ヒスタミン薬を併用して治療を継続できることが多い。ただし水疱や粘膜疹を伴う重症薬疹は例外で、その場合は緊急受診が必要である。
📚 国試でよく狙われるところ
抗甲状腺薬は2剤あり、副作用と妊娠期の使い分けが入れ替えて問われる。薬の名前と特徴を対にして覚えよう。
- 共通する重大な副作用=無顆粒球症・重症肝障害・血管炎
- 効果判定には遊離サイロキシン(FT4)と遊離トリヨードサイロニン(FT3)を用いる。TSHは回復が遅れるため、治療開始直後の指標にはならない
- 自己判断での中断は甲状腺中毒症の再燃や甲状腺クリーゼを招くため、定期受診と継続内服の意味を繰り返し確認する
| 項目 | チアマゾール〈MMI〉 | プロピルチオウラシル〈PTU〉 |
|---|---|---|
| 効果 | 強く作用時間が長い(1日1回投与が可能) | MMIより弱い |
| 妊娠初期(器官形成期) | 催奇形性の報告があり避ける | 第一選択となる |
| 特徴的な副作用 | 無顆粒球症、胆汁うっ滞型の肝障害 | 重症肝障害、ANCA関連血管炎 |
参考: バセドウ病治療ガイドライン(日本甲状腺学会)/医薬品添付文書・インタビューフォーム(チアマゾール、プロピルチオウラシル)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について