第115回 看護師国家試験 午後 問89 解説
📝 問題
職場における精神保健活動で、二次予防はどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 医療機関への紹介と高ストレス者への面談は二次予防(早期発見・早期対応)である。
予防の3段階は、一次予防=発生の予防、二次予防=早期発見・早期対応、三次予防=重症化の防止と職場復帰支援である。職場のメンタルヘルスもこの枠組みで整理する。
二次予防にあたるのは、すでに芽が出ている不調を早く見つけて手を打つ活動である。 研修や職場環境づくりは不調が起きる前の一次予防、休職者への職場復帰プログラムは再発を防ぐ三次予防で、どちらも二次予防ではない。
まぎらわしいのはストレスチェックである。制度そのものは気づきを促し職場環境の改善につなげる一次予防を主目的とするが、高ストレス者を拾い上げて面接指導につなげる個別の対応は二次予防にあたる。 この区別が本問の要点である。
- 1
職員に、こころの健康に関する研修を行う。不正解
こころの健康に関する研修は、知識を得てセルフケアの力を高め、不調の発生そのものを防ぐ活動なので一次予防である。
- 2
働きやすい職場環境づくりのために職員の意見を聞く。不正解
職員の意見を聞いて働きやすい職場環境をつくることは、ストレス要因そのものを減らす取り組みであり一次予防にあたる。ストレスチェックの集団分析を職場環境改善に活かすのも同じく一次予防である。
- 3
うつ病で休職中の職員に職場復帰プログラムを提供する。不正解
うつ病で休職中の職員への職場復帰プログラム(リワーク)の提供は、すでに発症した人の回復を支え、再発・重症化を防ぐ活動なので三次予防である。
- 4
メンタルヘルスの不調を訴える職員に医療機関を紹介する。正解
メンタルヘルスの不調を訴える職員を医療機関につなぐことは、症状が軽いうちに適切な治療を開始して重症化を防ぐ早期対応であり、二次予防にあたる。
- 5
ストレスチェックにおいて高ストレスであった者に面談を行う。正解
ストレスチェックで高ストレスと判定された人に面談を行うことは、不調の兆しをスクリーニングで拾い上げて対応する活動であり、早期発見・早期対応=二次予防にあたる。
📚 混同しやすいので注意
- メンタルヘルス指針が示す4つのケア=①セルフケア ②ラインによるケア(管理監督者) ③事業場内産業保健スタッフ等によるケア ④事業場外資源によるケア
- ストレスチェック制度=労働安全衛生法により、労働者数50人以上の事業場に年1回の実施義務。検査は「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域で行う
- 結果は実施者から本人に直接通知され、本人の同意なく事業者に提供してはならない。高ストレス者が申し出た場合、事業者は医師による面接指導を行い、その結果に基づいて就業上の措置を講じる
| 段階 | 目的 | 活動の例 |
|---|---|---|
| 一次予防 | 不調の未然防止・健康増進 | メンタルヘルス研修、セルフケア教育、職場環境改善、ストレスチェックの集団分析の活用、長時間労働の是正 |
| 二次予防 | 早期発見・早期対応 | 相談窓口の設置、高ストレス者への面接指導、医療機関への紹介、管理監督者による「いつもと違う」部下への気づき |
| 三次予防 | 重症化防止・職場復帰支援 | 職場復帰支援プログラム(リワーク)、復職後のフォローアップ、再発予防のための就業上の配慮 |
参考: 労働安全衛生法第66条の10(ストレスチェック制度)/厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」/厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について