第115回 看護師国家試験 午後 問79 解説
📝 問題
創傷の治癒過程において肉芽組織が形成されるのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 肉芽組織が形成されるのは増殖期である。
創傷の治癒は、止血期(出血凝固期)→炎症期→増殖期→成熟期(リモデリング期)の順に進む。肉芽組織がつくられるのは3番目の増殖期で、線維芽細胞がコラーゲンを産生し、同時に血管新生が起こって、鮮紅色で顆粒状の新しい組織が創底を埋めていく。創縁からの上皮化と創収縮もこの時期に進む。
止血期は受傷直後の血小板凝集とフィブリン網の形成、炎症期は好中球やマクロファージが壊死組織と細菌を処理する時期で、まだ新しい組織はつくられない。 成熟期はできあがったコラーゲンが再構築されて瘢痕が成熟し、強度が回復していく時期である(それでも最終的な引張強度は元の皮膚の約80%までにとどまる)。
なお、「出血期」は独立した治癒過程の区分としては用いられず、止血期に含めて扱われる。
- 1
炎症期不正解
炎症期は受傷後およそ3日(長くて1週間)続く時期で、好中球とマクロファージが創内に集まり、壊死組織や細菌を貪食して創を清浄化する。発赤・腫脹・熱感・疼痛がみられるが、まだ新しい組織はつくられていない。
- 2
止血期不正解
止血期(出血凝固期)は受傷直後の数時間で、血管の収縮、血小板の凝集、フィブリン網の形成によって止血が図られる。血小板から放出される成長因子がその後の治癒の引き金になるが、肉芽そのものはできない。
- 3
出血期不正解
「出血期」は創傷治癒過程の独立した区分としては用いられず、止血期(出血凝固期)に含まれる。いずれにせよ受傷直後の時期であり、肉芽形成は起こらない。
- 4
成熟期不正解
成熟期(リモデリング期)は増殖期の後に続き、数週間から1年以上かけて進む。増殖期にできた過剰なコラーゲンが分解・再構築されて配列が整い、瘢痕は赤みが引いて平坦になり、創部の強度が増していく段階である。
- 5
増殖期正解
増殖期(肉芽形成期)は受傷後およそ3日から2週間で、線維芽細胞がコラーゲンを産生し血管新生が起こって肉芽組織が形成される。同時に創縁から上皮化が進み、筋線維芽細胞による創収縮も起こる。
📚 ここも一緒におさえておこう
- 治癒を遅らせる因子=低栄養(とくに蛋白質・亜鉛・ビタミンC不足)、高血糖、ステロイドや抗がん薬、感染、局所の血流障害と圧迫、喫煙、加齢
- 湿潤環境を保つと上皮化が進みやすい。創面を乾燥させず、消毒薬の連用は避けて生理食塩水や微温湯で洗浄するのが基本
- 一次治癒=創縁を接合して縫合するため瘢痕が小さい/二次治癒=欠損を肉芽で埋めて上皮化を待つため治癒に時間がかかり瘢痕が大きい
| 時期 | 期間の目安 | 主役となる細胞 | 起こること |
|---|---|---|---|
| 止血期(出血凝固期) | 受傷直後〜数時間 | 血小板 | 血管収縮、血小板凝集、フィブリン網の形成 |
| 炎症期 | 〜3日(〜1週間) | 好中球・マクロファージ | 壊死組織と細菌の貪食、発赤・腫脹・熱感・疼痛 |
| 増殖期(肉芽形成期) | 3日〜2週間 | 線維芽細胞・血管内皮細胞・表皮細胞 | 肉芽組織の形成、血管新生、上皮化、創収縮 |
| 成熟期(リモデリング期) | 2週間〜1年以上 | 線維芽細胞 | コラーゲンの再構築、瘢痕の成熟、強度の回復 |
参考: 日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン」・DESIGN-R®2020/系統看護学講座 成人看護学(創傷管理)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について