第115回 看護師国家試験 午後 問49 解説
📝 問題
肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる疾患はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となるのは肝細胞癌である。
正常な肝実質は血流の約7〜8割を門脈から受けているのに対し、肝細胞癌を養う血管はほぼ肝動脈だけである。 この血流支配の違いを利用し、カテーテルで腫瘍を養う肝動脈を選択的に塞栓すると、正常な肝実質をある程度保ったまま腫瘍だけを壊死させられる。 これが肝動脈塞栓術〈TAE〉であり、抗癌剤を併用するものを肝動脈化学塞栓療法〈TACE〉という。
TAEは、肝切除やラジオ波焼灼療法が難しい多発例などに用いられる。 施行後は発熱・腹痛・悪心(塞栓後症候群)がしばしば出現し、肝機能の悪化にも注意が必要である。
- 1
肝囊胞不正解
肝囊胞は液体が貯留した良性の袋状病変で、無症状であれば経過観察が基本である。大きくなって圧迫症状が出た場合に穿刺吸引や硬化療法、開窓術が検討され、動脈を塞栓する治療ではない。
- 2
脂肪肝不正解
脂肪肝は肝細胞に中性脂肪が蓄積した状態で、治療の中心は食事・運動療法による生活習慣の改善と、原因(飲酒・肥満・糖尿病)への対応である。
- 3
肝細胞癌正解
肝細胞癌は肝動脈から栄養を受けるため、この動脈を塞栓すると腫瘍が選択的に壊死する。切除やラジオ波焼灼療法が難しい多発病変などがよい適応となる。
- 4
急性A型肝炎不正解
急性A型肝炎は経口感染するウイルス性肝炎で、安静と食事療法など対症療法により多くは自然に治癒する。血管内治療の対象ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
肝細胞癌の治療は、どの治療がどんな条件で選ばれるかを入れ替えて問われる。肝機能(Child-Pugh〈チャイルド・ピュー〉分類)・腫瘍の数と大きさ・転移の有無と、治療法を対にして覚えよう。
- 肝切除=肝機能が保たれ、腫瘍が限局している場合
- ラジオ波焼灼療法〈RFA〉=3cm以下・3個以下が目安の局所療法
- 肝動脈塞栓術〈TAE〉・肝動脈化学塞栓療法〈TACE〉=切除やRFAが難しい多発例
- 薬物療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)=脈管侵襲や遠隔転移のある進行例
- 肝移植=ミラノ基準などの条件を満たす症例
参考: 肝癌診療ガイドライン(日本肝臓学会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について