第115回 看護師国家試験 午後 問38 解説
📝 問題
口すぼめ呼吸によって生じるのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 口すぼめ呼吸は呼気時の気道内圧を高め、末梢気道の虚脱を防ぐ。
口すぼめ呼吸は、鼻から息を吸い、口をすぼめて吸気の2〜3倍の時間をかけてゆっくり吐く呼吸法である。すぼめた口が呼気の抵抗となることで気道内圧が上昇し、気道を内側から押し広げる力が働く。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)では肺の弾性収縮力が低下し、呼気時に末梢気道が虚脱(閉塞)して空気が肺内に閉じ込められる(エアトラッピング)。 口すぼめ呼吸で気道内圧を高めるとこの虚脱を防げるため、呼出がスムーズになり、結果として1回換気量は増加し、呼吸回数はむしろ減少する。 残る3つは、いずれも実際とは逆の変化である。
- 1
気道内圧の上昇正解
すぼめた口が呼気の抵抗となって気道内圧が上がる。この圧が末梢気道を内側から支え、虚脱を防いで呼出を助ける。
- 2
呼吸回数の増加不正解
呼気をゆっくり長くするため1回の呼吸に要する時間が延び、呼吸回数はむしろ減少する。浅く速い呼吸は死腔換気の割合を増やして効率が悪いため、口すぼめ呼吸で是正を図る。
- 3
末梢気道の閉塞不正解
末梢気道の閉塞(虚脱)を防ぐことこそが口すぼめ呼吸の目的である。閉塞を生じさせるのではない。
- 4
1回換気量の減少不正解
気道の虚脱が防がれて呼出が進み、肺内に残る空気(残気量)が減るため、次の吸気で入る量が増えて1回換気量は増加する。減少ではない。
📚 丸暗記より仕組みで覚えよう
COPDの呼吸リハビリテーションでは、呼吸法だけでなく姿勢・日常動作・生活の管理までまとめて指導する。
- 口すぼめ呼吸=呼気の気道内圧を高め、末梢気道の虚脱を防ぐ
- 腹式(横隔膜)呼吸=横隔膜を使って呼吸仕事量を減らす
- 前傾姿勢(起座位、オーバーテーブルにもたれる)=横隔膜が下がり呼吸が楽になる
- 動作時は「息を吐きながら動く」を徹底する(重い物を持ち上げる、階段を昇る、排便時など)
- 禁煙・インフルエンザおよび肺炎球菌ワクチン接種・栄養管理も治療の柱である
参考: COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(日本呼吸器学会)/呼吸リハビリテーションに関するステートメント
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について