第115回 看護師国家試験 午後 問35 解説
📝 問題
コミュニケーションの方法として筆談が適しているのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 構音障害は言語機能が保たれるため、筆談が有効である。
筆談が成立するには、言葉を理解し組み立てる力(言語機能)が保たれていることが前提となる。構音障害は、口唇・舌・軟口蓋・喉頭など発声発語器官やその支配神経の障害によって「発音が不明瞭になる」状態であり、言語機能そのものは障害されていない。 書いて伝える・書かれた文字を読むことはできるので、筆談は有効な代替手段になる。
一方、失語症は大脳の言語中枢の障害であり、「話す・聴く・読む・書く」のすべてが程度の差はあれ障害される。運動性失語(Broca〈ブローカ〉失語)は理解が比較的良好でも書字が障害され、感覚性失語(Wernicke〈ウェルニッケ〉失語)は文字の理解も障害される。全失語は4つすべてが重度に障害されるため、いずれも筆談は適さない。
- 1
全失語不正解
全失語は話す・聴く・読む・書くのすべてが重度に障害される。筆談は成立せず、表情・身振り・実物やイラストの提示など非言語的手段を用いる。
- 2
構音障害正解
構音障害では言葉を理解し組み立てる力は保たれ、発音(構音)だけが障害される。上肢の運動機能に問題がなければ筆談は有効で、五十音表や意思伝達装置も活用できる。
- 3
運動性失語不正解
運動性失語(Broca失語)は理解が比較的保たれる一方、発話は非流暢で努力性となり、書字も同様に障害されることが多い。「はい/いいえ」で答えられる閉じた質問や絵カードのほうが有効である。
- 4
感覚性失語不正解
感覚性失語(Wernicke失語)は流暢に話すが理解が悪く、書かれた文字の理解も障害される。筆談では伝わらないため、実物提示やジェスチャーなど視覚的・具体的な手段を用いる。
📚 混同しやすいので注意
失語症と構音障害は、どちらが「言葉そのもの」の障害かを入れ替えて問われる。障害されているのが言語機能か発音かで見分けよう。
| 項目 | 構音障害 | 運動性失語 | 感覚性失語 |
|---|---|---|---|
| 障害部位 | 発声発語器官とその支配神経 | 前頭葉(Broca野) | 側頭葉(Wernicke野) |
| 発話 | 不明瞭だが内容は正しい | 非流暢・努力性 | 流暢だが錯語が多い |
| 言語理解 | 良好 | 比較的良好 | 不良 |
| 筆談の適否 | 有効 | 適さない | 適さない |
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について